VWやアウディで採用される7速乾式DSG。
その心臓部「メカトロニクスユニット」は高額修理の代表格ですが、
ナイルプラスとTOYSのリビルト販売プロジェクトにより、
“純正にも劣らない品質を、より現実的なコストで”実現しました。

👉【ナイル×TOYS】メカトロリビルトプロジェクト始動!

ABS警告灯が点灯したときの原因と対処法|ティグアンに見るホイールスピードセンサー交換の実例

Tiguan
記事内に広告が含まれています。

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)は、制動時にタイヤのロックを防ぐ安全装置です。
このシステムが正常に作動しない場合、ブレーキ性能や安定性に影響が及ぶため、メーター内に警告灯が点灯した際は早急な点検が必要です。

フォルクスワーゲン・ティグアンなどの欧州車では、「ABS」「ESP」「トラクションコントロール」「タイヤ空気圧警告」などが同時に点灯するケースが多く見られます。
これは各システムが連動しており、1箇所のセンサー異常が複数の機能停止につながるためです。

本記事では、右フロントのホイールスピードセンサー異常を例に、診断機による故障判定からセンサー交換、再診断による確認までの一連の手順を解説します。
ABS関連警告が出た際の原因の切り分け方や整備上の留意点についても整理します。

参考:ナイルメカチャンネル「フォルクスワーゲン・ティグアン ABSランプ点灯修理」

① まずは診断・見積もり
輸入車に強い整備士が原因を特定し、必要最小限で提案。
▶ VW修理工場を探す(buv.LABO)

②高額修理の前に査定
整備履歴・社外パーツまでプラス査定の外車専門。
▶ 外車バトンで無料査定

③ 修理費が高いなら“定額で新車”
車検・税金・メンテ込の月額で故障ストレスから解放。
▶ SOMPOで乗ーるで月額チェック

ABS警告灯点灯の仕組みと初期症状

ABSとはどんな仕組み?

ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)は、急ブレーキをかけたときにタイヤがロックしてスリップするのを防ぐ安全装置です。
走行中に路面が濡れていても、タイヤの回転を細かく制御することで車の安定性を保ち、ハンドル操作を可能にします。
つまり、ABSは「止まる」ための装置というより、「滑らずに止まれるようにする」ための仕組みです。

複数の警告灯が同時に点く理由

フォルクスワーゲン・ティグアンをはじめとする欧州車では、ABSが他の安全装置と連動しています。
たとえばESP(横滑り防止装置)やトラクションコントロール、さらにはタイヤ空気圧警告システムまでもが相互に情報を共有しており、1箇所のセンサーが故障すると関連する複数のシステムが停止します。
そのため、メーター上では「ABS」「ESP」「トラクション」「タイヤ空気圧」など、複数の警告灯が同時に点灯することがよくあります。

メッセージ表示と初期症状

警告灯のほかに、メーターディスプレイに「エラー:ESCシステム異常」「ABSシステム異常」などのメッセージが出ることもあります。
初期の段階ではブレーキが通常通り効くため、「走れるから大丈夫」と誤解しやすいのですが、実際にはABSが作動しない状態です。
急ブレーキ時にはタイヤがロックしやすく、特に雨天や雪道では制動距離が伸びる危険があります。

一時的な点灯と本格的な故障の違い

ABS警告灯が一時的に点いて消える場合は、センサーに泥や水が付着した一過性の異常であることもあります。
しかし、再始動後も消えない場合や他の警告灯も一緒に点灯する場合は、センサーの故障や配線トラブルの可能性が高いです。
そのまま走行を続けると、ブレーキ制御ユニット(ABSポンプ)の異常判定まで広がることもあるため、早めの点検が欠かせません。

診断の第一段階:故障コードの読み取り

診断のスタートはOBDⅡスキャンから

ABS警告灯が点灯した場合、まず行うべきはOBDⅡ診断機による故障コードの読み取りです。
ティグアンを含むフォルクスワーゲン車では、車両の電子制御系が非常に複雑に連動しているため、感覚的な判断では原因を特定できません。
診断機を車両のOBDポートに接続すると、各制御ユニットが記録した「DTC(Diagnostic Trouble Code:故障コード)」を取得できます。
これが、修理の出発点になります。

ティグアンの実例:右フロントセンサー異常

今回の事例では、診断機により右フロントのホイールスピードセンサー異常が検出されました。
このセンサーは各タイヤの回転速度をリアルタイムで検出し、ABSユニットに信号を送る役割を担っています。

診断結果をもとに、各輪の信号状態をモニター表示すると、3輪のセンサーは回転に応じて速度信号を出しているのに対し、右前輪だけが「無反応」になっていました。
この時点で、センサー自体の不良か配線系統の問題が疑われます。

実走行テストによる確認

診断機での静的チェックに加え、実走行テストを行うと、異常の切り分けがより正確にできます。
数十メートルほど走行しながら各輪の回転信号を確認すると、異常な輪だけが速度ゼロのまま。
これにより、センサーまたはその周辺の配線断線が原因であることが確定します。

この段階で、ホイールスピードセンサーを新品に交換する判断が下されます。

故障コードの読み方のポイント

DTCコードは単なる“エラー表示”ではなく、故障の発生箇所と内容を具体的に示す重要な情報です。
たとえば「00283 – 右前ホイールスピードセンサー(G45):信号なし」などと表示される場合、センサーそのものの異常が明示されます。

もしコードが「断続的信号」や「電圧範囲外」と表示されている場合は、センサー本体ではなく配線の接触不良やコネクターの腐食が原因である可能性もあります。

このように、故障コードを正確に読み取ることが、無駄な部品交換を防ぐ第一歩です。

センサー交換の手順

作業の準備と安全確保

ホイールスピードセンサーの交換は、正確さと安全性が求められる作業です。
まず車をリフトアップし、対象のホイールを取り外します。
平坦な場所でジャッキアップする場合は、必ずウマ(ジャッキスタンド)を併用し、車体を安定させてから作業を進めます。
ティグアンはホイールハウス内のスペースが広く、センサー交換にアクセスしやすい構造のため、整備性は比較的良好です。

センサーの位置と取り外し

ホイールスピードセンサーは、ハブベアリングの近くに装着されています。
ブレーキキャリパーの裏側付近に細い配線が伸びており、その先端にセンサー本体があります。
まず固定ボルト(通常はトルクスまたは六角ボルト)を外し、センサーを慎重に引き抜きます。
長年の使用でサビや泥が固着している場合が多く、無理に引き抜くとセンサーが折れるおそれがあるため、浸透潤滑剤を軽く吹きかけてから少しずつ動かすのがコツです。

取付部の清掃と下準備

旧センサーを取り外したあとは、センサー取付穴や周囲の金属粉・サビ・異物を丁寧に清掃します。
ここが汚れたままだと、新しいセンサーが正しい位置に収まらず、信号が不安定になることがあります。
小型ブラシやパーツクリーナーで清掃したあと、薄くグリスを塗布しておくと、次回の整備時に固着を防ぐことができます。

新品センサーの装着

清掃が終わったら、新しいセンサーを差し込み、固定ボルトでしっかりと締め付けます。
トルクレンチがある場合は、メーカー指定トルクで締めることが理想です。
配線ルートも元の位置に沿わせ、タイヤ回転部やサスペンションとの干渉がないよう確実に固定します。
特に配線クリップの固定忘れは断線の原因になるため注意が必要です。

ティグアンの構造では、センサー交換自体は10分ほどで完了する比較的簡単な作業です。
ただし、配線やコネクターの位置を誤ると、再び警告灯が点灯してしまうこともあるため、丁寧な確認が欠かせません。

最後に確認しておくべきこと

センサーを取り付けた後、ホイールを戻して締め付けトルクを確認します。
ブレーキ配線やABSハーネスが引っ張られていないか、タイヤを左右に切ってチェックしておくと安心です。
この時点での慎重な確認が、再発防止につながります。

作業後の確認と診断データの再チェック

エンジン再始動後の初期確認

センサー交換が終わったら、まずエンジンを再始動してメーター内の警告灯が消灯するかを確認します。
通常、センサーの信号が正常に戻れば「ABS」「ESP」「トラクション」など複数のランプが同時に消えます。
ただし、エラーコードが残っている場合は点灯が続くこともあるため、ここで焦らず次の手順に進みましょう。

診断機による再チェック

続いて、OBDⅡ診断機を再び接続し、各ホイールのスピードセンサー信号をリアルタイムで確認します。
正常な状態では、すべてのタイヤが走行速度に応じて同じように数値を示します。
今回のティグアンの例では、交換後に右フロントセンサーの信号が復帰し、他の3輪と同様の値が出ていることが確認できました。

もし再び1輪だけ反応がない場合は、配線の導通不良やコネクター接触不良の可能性があるため、再度点検が必要です。

故障コードの消去

センサー交換後も、車両のコンピューターには過去の故障履歴(DTC)が残っています。
診断機の「故障コード消去」機能を使ってエラーをリセットし、再度エンジンを始動しても警告灯が再点灯しないことを確認します。

このとき重要なのは、消去してもすぐ再点灯しないかという点です。
消灯状態が維持されていれば修理完了、再点灯する場合はまだ問題が残っているサインです。

実走行テストで最終確認

最後に短距離の試走を行い、ブレーキ操作や加速時に異常がないかを確認します。
特にABS作動テスト(急制動テスト)は、交通量の少ない安全な場所で行いましょう。

走行中に警告灯が再点灯しなければ、センサー交換作業は完全に完了です。
これにより、ABSだけでなく、ESPやトラクションコントロールなどの関連システムもすべて正常復帰します。

点検時に確認しておくと良いポイント

整備後は、ホイールハウス内の配線がタイヤやサスペンションに干渉していないか、または固定クリップが外れていないかを最終チェックしましょう。
ここを怠ると、走行中の振動で断線するケースもあります。

再診断と試走確認まで終えることで、単なる部品交換にとどまらず、安全性まで確保された修理が完了します。

故障の原因と注意すべきポイント

最も多い原因はセンサー単体の不良

ABS警告灯が点灯した場合、最も多い原因はホイールスピードセンサーそのものの故障です。
センサーは、タイヤの回転を磁気的に検知して電気信号を送る精密部品であり、常にホイールの回転部と近接しているため、熱・振動・水分・泥などの影響を強く受けます。
ティグアンのようなSUVでは、泥はねや塩害によってセンサー内部の基板や磁気リングが損傷し、信号が途絶えるケースがよくあります。

配線トラブルも見逃せない

センサー自体が正常でも、配線の断線や接触不良が原因で信号が届かないことも少なくありません。
ホイールハウス内を通る配線は常に動いているため、経年による被膜のひび割れや、タイヤハウスとの擦れによって断線することがあります。
また、カプラー内部に水が入り込み、端子が腐食して導通が悪くなるケースもあります。
こうした場合、単純なセンサー交換では改善せず、導通テストや電圧測定が必要になります。

まれに起こるABSユニットの故障

センサーや配線に異常が見つからないのに警告灯が消えない場合は、ABSポンプユニット(制御モジュール)内部の不良も考えられます。
内部ソレノイドの接点不良や制御基板の断線が原因で、特定の輪だけ信号を受け取れなくなるケースです。
これが起きると部品代が高額になり、修理費用は10万円を超えることもあります。
ディーラーや専門工場では、診断機を使ってポンプの動作を個別にチェックし、必要に応じてユニット交換やリビルト対応を行います。

👉VW専門店ナイルプラスのメンテナンス・カスタムの費用&作業日数まとめ

ECU(車両コンピューター)系統の不具合

まれに、車両側のECU(電子制御ユニット)の誤作動が原因で、実際には異常がないのに警告灯が点く場合もあります。
これらは電圧降下やバッテリー劣化によって発生することがあり、特に冬季やアイドリングストップ車で顕著です。
まずはバッテリーの電圧チェックを行い、必要に応じて補充電・交換を行うと改善するケースもあります。

修理時の注意点

部品を交換しても警告灯が消えない場合、原因を1つずつ確実に切り分けることが大切です。
焦って他部品を無計画に交換すると、費用だけがかさみ、根本解決には至りません。
ABS関連の修理は電気的な要素が多いため、経験豊富な整備士の診断を受けることが最も確実です。

また、社外品センサーを使う場合は、互換性や感度に差があるため、純正または品質保証付きリビルト品を選ぶのが安心です。

ABS警告点灯⁉︎元ディーラーメカニックが修理方法を解説します‼︎

予防と定期点検の重要性

汚れや湿気がトラブルのもとになる

ホイールスピードセンサーは、ブレーキローターやハブのすぐ近くに取り付けられているため、水・泥・融雪剤(塩分)などの影響を非常に受けやすい部品です。
雪道や海沿いの地域では、走行中に巻き上げられた汚れや塩分がセンサー周囲に付着し、長期間放置すると金属部が腐食したり、センサーの読み取り面が異物で覆われたりして、信号異常を引き起こすことがあります。

特に冬季に道路へ散布される融雪剤(塩化カルシウム)はサビの原因となりやすく、年数が経つほど影響が大きくなります。

洗車や点検時にできる簡単ケア

センサーを直接掃除することは難しいですが、洗車後にホイールハウス内をしっかり洗い流すことで、泥や塩分の蓄積を防ぐことができます。
タイヤ交換やブレーキ点検の際に、整備士に「センサー部の状態も見てほしい」と一言添えるだけでも、早期発見につながります。

また、長期間乗らない場合は、湿気がこもらないようにガレージ内の通気を良くしておくことも効果的です。

定期スキャンで“隠れ異常”を見つける

最近のティグアンを含むフォルクスワーゲン車は、センサーや制御ユニットが非常に高精度な分、ごく微細な信号異常でもエラーを記録します。
目に見える不具合がなくても、診断機を使えば過去の異常履歴を確認することが可能です。

そのため、1年点検や車検の際には、エンジンやブレーキだけでなく「ABSシステムのスキャンチェック」も合わせて行うのがおすすめです。
早期に異常を発見できれば、部品交換が必要になる前に清掃や接点修正で済むケースもあります。

予防整備が結果的にコストを抑える

ABS関連の修理は、トラブルが起きてから対応すると高額になりがちです。
センサーや配線を傷める前に、汚れの除去・点検・早期診断を行っておくことで、トラブルを未然に防げます。

特に輸入車は部品単価や診断費用が国産車より高いため、定期的な点検こそが最も経済的な“予防整備”といえるでしょう。

早期対応が安全性を守る

警告灯は“まだ走れる”ではなく“今すぐ点検”のサイン

ABS警告灯が点灯しても、ブレーキ自体は一見通常通りに効くため、「とりあえず走れる」と考えてしまう人も多いでしょう。
しかしこれは非常に危険です。
ABSが働かない状態では、急ブレーキ時にタイヤがロックして車が滑り出す可能性が高くなり、制動距離が長くなるだけでなく、ハンドル操作も効かなくなることがあります。
特に雨天や雪道では、ほんの数メートルの差が事故を防ぐかどうかを分けます。

早期診断と交換で解決できるケースがほとんど

ティグアンをはじめとする多くのフォルクスワーゲン車では、ABS警告灯の原因の大半がホイールスピードセンサーの不良です。
この部品は比較的安価で、交換も短時間で完了します。

診断機でエラーコードを読み取り、異常箇所を特定して部品を交換すれば、ほとんどのケースで警告灯は消え、正常な制御が回復します。
つまり、「早めに診断して正しく直す」ことが、結果的に最もコストを抑え、安全を確保する方法なのです。

放置すると拡大するリスク

センサー異常を放置したまま走行を続けると、ABSポンプユニットやECUが誤作動を起こし、より深刻なトラブルへ発展することがあります。
そうなると修理費用が10万円を超えることも珍しくありません。
早期に対処していれば、センサー数千円+工賃程度で済むケースが多いため、警告灯が点いた段階での点検が非常に重要です。

安全を守るのは、日常の意識

ABSはドライバーの安全を陰で支える装置です。
その働きが失われると、いざという時に車の性能を発揮できません。
日常的にメーターの警告灯を気にかけ、異常を見逃さないことが大切です。
また、点検や車検の際には、整備士に「ABSまわりもチェックしてください」と一言伝えるだけで、トラブルの予防につながります。

ABS警告灯は、車が「危険な状態にある」ことを教えてくれる大切な信号です。

放置せず、診断機による故障コード確認 → 部品交換 → 再チェックという基本手順を踏めば、ほとんどのトラブルは確実に解決できます。

愛車の安全を守るためにも、早めの対応を心がけましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. ABS警告灯が点いたまま走っても大丈夫ですか?

A. 一時的に走行は可能ですが、非常に危険です
ABSが機能していない状態では、急ブレーキ時にタイヤがロックし、車が滑る恐れがあります。
特に雨天やカーブでは制御を失うリスクが高くなります。
安全のため、警告灯が点いたらできるだけ早く整備工場で診断を受けましょう。

Q2. 警告灯が一度消えたのに、また点きました。
これは故障ですか?

A. 一時的な汚れや湿気によってセンサー信号が乱れた場合、走行中に一度消灯することもあります。
ただし、再び点灯する場合はセンサーの劣化や配線不良の可能性が高いです。
自己診断では判断が難しいため、診断機による故障コード確認をおすすめします。

Q3. ABSセンサーは自分で交換できますか?

A. 構造を理解していればDIYも可能ですが、ティグアンのような輸入車は配線が繊細で、誤って引っ張ると断線することがあります。
また、交換後に故障コードのリセットや再診断が必要なため、基本的には整備工場に依頼するのが安全です。

Q4. 修理費用はいくらくらいかかりますか?

A. センサー本体の価格は1個あたり5,000〜10,000円前後が目安です。
交換工賃を含めると、1輪あたり1万円台〜2万円前後で済むことが多いです。
もしABSユニット本体の交換が必要な場合は、10万円を超えることもありますが、センサー不良の段階で対応すれば費用を抑えられます。

Q5. どうすれば再発を防げますか?

A. センサーは汚れや水分、塩害に弱いため、ホイールハウスの清掃や定期点検が効果的です。
特に冬季は融雪剤が原因でセンサー周辺が腐食することがあるため、洗車時に下回りをよく洗い流しましょう。
また、年に一度は診断機でエラー履歴を確認すると安心です。

Q6. ABS以外の警告灯も一緒に点くのはなぜ?

A. フォルクスワーゲン車では、ABSがESP(横滑り防止装置)やトラクションコントロールと連動しているため、1つのセンサー異常で複数の警告灯が同時に点灯することがあります。
これは故障箇所が増えたわけではなく、連携機能が停止しているだけなので、センサー修理でまとめて解決します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました