エンジンの調子がイマイチだと「点火系かな?」「燃料ポンプかな?」と真っ先に疑いがちですが、実は“インテークバルブ”が犯人というケースも少なくありません。
とくにフォルクスワーゲン(以下VW)は直噴エンジンを多用しているため、バルブまわりのトラブルが起きやすいことで知られています。
本記事ではよくある症状から修理方法、さらにトラブルが多い車種まで、まるっと解説します。
そもそもインテークバルブって何?
インテークバルブは吸気バルブとも呼ばれ、ピストンが下がったときに空気と燃料の混合気をシリンダー内に送り込む“ドア”の役目をします。
- 開く:混合気がドバっと入る
- 閉じる:燃焼室を密閉して爆発をガッチリ受け止める
この開閉タイミングがズレたり、バルブ自体が汚れたりすると燃焼がうまくいかず、パワー不足・アイドリング不調・燃費悪化などが顔を出します。
VWでよくあるインテークバルブのトラブル
カーボン蓄積
直噴エンジン(FSI/TSI)は燃料がシリンダー内に直接噴射されるため、ガソリンがバルブ表面を“洗う”ことがありません。
そこへ ブローバイガス+EGR(排気再循環) が合わさると、油っぽいススがバルブ背面にベッタリ。
- 症状:アイドリングが波打つ、低速でノッキング、エンスト
- 放置:ひどい場合はチェックランプ点灯&加速しない
バルブ曲がり
タイミングチェーン(またはベルト)が飛んだり、テンショナーが弱ったりするとバルブがピストンにヒット。
ガツンと曲がって圧縮漏れを起こします。
- 症状:片バンクだけ圧縮ゼロ、始動不可、排気音がポコポコ
バルブステムシール劣化(オイル下がり)
走行距離が伸びるとシールがカチカチに。
オイルが燃焼室に垂れ、マフラーから青白い煙がモクモク。
- 症状:始動直後に白煙、オイル減り、プラグがオイリー
可変バルブタイミング不良
TSI系はバルブタイミングアクチュエーターのスラッジ詰まりで角度がズレることも。
- 症状:加速の谷間、チェックランプ、エンジン振動
こんなサインが出たら要チェック
ひとつでも思い当たるなら、バルブまわりを疑ってみましょう。
トラブルが起きやすいVW車種
これらは直噴+ターボの組み合わせで吸気温が高く、ブローバイの量も多め。
結果、カーボンが育ちやすい“温室”状態になりがちです。
修理&メンテナンス方法
ウォールナットブラスト
もっともポピュラーな物理洗浄。
砕いたクルミの殻を高圧で噴射し、カーボンをゴリゴリ落とします。
- メリット:即効性バツグン、バルブを外さないので工賃控えめ
- デメリット:作業後に殻の残骸を完全に吸い出す手間がある
ケミカル洗浄
インテーククリーナーをバルブ背面に吹き付け、数十分おいてからアイドリング。
軽度の汚れならこれでOK。
- メリット:DIYも可、コスト安
- デメリット:重症だと効きが弱い
バルブ&シール交換
曲がりや摩耗、オイル下がりがひどい場合はシリンダーヘッド脱着→バルブ新品コース。
- メリット:根本解決
- デメリット:部品+工賃で高額、数日入院覚悟
予防策
- 高品質オイルをこまめに交換(5,000km目安)
- PCVバルブの点検でブローバイ抑制
- 走行後のアイドリングストップを短くし、熱だまりを防ぐ
- 燃料添加剤を年1〜2回投入し、微細なススを分散
まとめ
VWの直噴ターボは走りのキビキビ感が魅力ですが、その裏でインテークバルブはカーボンまみれになりやすい宿命を背負っています。
愛車を長く元気に走らせるコツは、トラブルが小さいうちにサクッと手を打つこと。
ちょっとでも違和感を覚えたら、信頼できる専門店でチェックしてもらいましょう。
週末のドライブを思い切り楽しむためにも、インテークバルブの健康診断、忘れずに!
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