「エンジンがブルブル震える」「チェックランプが点滅してパワーが出ない」
――そんな症状、VW乗りなら一度は耳にしたことがあるはず。
犯人の筆頭が イグニッションコイル(通称コイルパック)です。
今回はコイルが壊れやすい理由から、モデル別の“要注意ランキング”、そして修理・予防のコツまでを丸ごと解説します。
Contents
イグニッションコイルって何?
- 12Vのバッテリー電圧を何万ボルトにもブーストしてスパークプラグへ送る“変圧器”
- 1気筒に1個付く コイルオンプラグ方式 がVWでは主流
- 熱と振動、そして湿気という三重苦の場所に取り付けられているため、どうしても寿命が短め
トラブルが起きるとどうなる?症状チェックリスト
「プラグを替えても治らない」場合はコイルがほぼ黒だと思ってください。
不具合が起きやすいVW車種ベスト5
第1位 Golf 4 GTI 1.8T(1999‑2004年・AUM/AGU系)
2001年以降はリコールが出るほどコイル不良が多発。
連鎖的に壊れるので“全交換”が定番。
第2位 Passat B5/B5.5 1.8T(2000‑2005年)
エンジンルームに湿気がこもりやすく、コイル内部がショートしやすい。
雨天後の失火報告が多い。
第3位 Golf 5/6 GTI 2.0T FSI・TFSI(2005‑2012年)
高温になる直噴ターボ。
暖機が終わった頃にだけ失火する「熱疲労型」が典型。
第4位 Tiguan/Scirocco 2.0TSI(2008‑2015年)
SUVやクーペでエンジンルームがタイト。
高ブーストも相まってコイル温度が上がりやすい。
第5位 Polo 6R 1.2TSI(2010‑2014年)
小排気量ターボは点火負荷が高く、早期劣化しがち。
コイル&プラグを3万kmサイクルで交換するオーナーも。
なぜ壊れる?主な原因
熱疲労
ターボ車は特にエンジンルームが灼熱。
樹脂や内部の銅線が劣化しやすい
オイルリーク
プラグホールにオイルが入り“水没状態”になってショート
湿気・結露
パッキン劣化で内部に水分が侵入
プラグギャップ過大
火花が飛びにくくなりコイルに過剰負荷
DIY診断ステップ
- OBD2スキャンでエラーコードを確認。
P030X系なら失火シリンダーをメモ - コイルの入れ替えテスト:1番と2番を交換して症状が移ればコイル確定
- プラグ点検:ギャップ摩耗やカーボン付着をチェック
- ハーネス目視:断線や焦げ跡があれば要修理
修理・交換の方法
① コイル単体交換
- 世代で形状が異なるので純正品番を要確認
- 4本同時交換が理想。
予算を抑えるなら不良気筒+予備1本でも可
② プラグ同時交換
- プラチナ/イリジウムプラグ推奨
- ギャップ目安:1.8Tは0.8 mm、2.0Tは0.7 mm
③ ハーネス修理またはアップグレード
- 熱で硬化した配線はキットごと交換が安心
④ ディーラーリコール確認
- 2001‑2003年製の1.8T系はVINで無償交換履歴をチェック
長持ちさせるコツ
- 3万kmごとにプラグ点検。
ギャップ調整か交換 - コイル上部に防水グリスを薄く塗布し、湿気ブロック
- 洗車後や豪雨後はボンネットを開けて自然乾燥
- 吹け上がりが鈍い、アイドルが揺れるなどの小さな変化を見逃さない
まとめ
イグニッションコイルは“火花職人”。
一人でもサボればエンジンは一気に不機嫌になります。
特に 1.8T系・2.0T系ターボ は熱と湿気で故障が多発しがち。
- 症状が出たら早めの診断→コイル&プラグ同時交換
- VINでリコール対象を確認
- 定期的なプラグ点検と防水対策
これだけでトラブル確率はグッと下がります。
愛車の元気を保つために、コイルにはぜひ優しく気を配ってあげましょう。
コメント