アクセルを踏むとエンジン回転だけ「ブーン」と上がるのに、車が前に進まない……。
VW車でよく相談される症状で、原因はエンジン側よりもミッション側(DSG)やターボ・ブースト系にあることが多いのが特徴です。
クラッチの滑り、過給不足、インテークの漏れ、点火系の力不足など、複数の要因が“回転だけ先に上がる”という形で現れます。
放置するとジャダー悪化やターボ損耗、最悪は走行不能に。
この記事では、加速しない時の代表原因と見分け方をわかりやすく解説します。
よくある症状
原因は大きく4つ(構造別)
- DSGのクラッチ滑り・学習値ズレ(最も多い)
- ターボの過給不足(ブースト漏れ)
- 吸気・点火・燃料系のパワー不足
- ブレーキ引きずりによる抵抗増大
原因①:DSGクラッチ滑り(回転だけ上がる代表原因)
どんな時に起きる?
- 回転数は上がるが速度がついてこない
- ギアがつながるまで間がある
- 発進が重い・ジャダーが出る
なぜその症状が出る?
DSGは2つのクラッチで変速を行います。
クラッチ摩耗・油圧不良・学習値のズレがあると、
- 半クラが長くなる
- トルクが逃げる
- 回転と速度が一致しない
という状態になり、“回転だけ上がって進まない”という典型症状が出ます。
特に乾式7速(DQ200)で多発。
放置するとどうなる?
原因②:ターボの過給不足(ブースト漏れ)
どんな時に起きる?
- 加速と同時に「シュー」「プシュー」音
- 高回転まで引っ張られるのに速度が乗らない
- 坂道で極端に弱い
なぜその症状が出る?
ターボが正しく圧をかけられないと、
エンジンは回ってもパワーが出ません。
原因例:
- インテークホースの亀裂
- インタークーラーの損傷
- ターボアクチュエーター不良
- ウエストゲート固着
放置するとどうなる?
原因③:吸気・点火・燃料系のパワー不足
どんな時に起きる?
- 回転は上がるが加速しない
- アイドリングが弱い
- 低速にムラがある
- 高回転で頭打ち
なぜその症状が出る?
スロットル・MAF・プラグ・コイル・インジェクターなどが弱ると、
燃焼エネルギーが不足 → 回転は上がるが力が出ない
という状態になります。
放置すると?
原因④:ブレーキ引きずり(隠れた抵抗)
どんな時に起きる?
- 加速しないうえに惰性走行も伸びない
- ホイールが片側だけ熱い
- 低速でキーキー音
なぜその症状が出る?
キャリパー固着やスライドピンの焼き付きで、
常に軽くブレーキが当たっている状態になると、
- 回転は上がる
- 車は進まない
という症状が発生します。
放置するとどうなる?
選択肢は3つ
こんなとき、VWオーナーにできる現実的な選択肢は次の3つです。
① まずは診断・見積もり
輸入車に強い整備士が原因を特定し、必要最小限で提案。
② 高額修理の前に査定
整備履歴・社外パーツまでプラス査定の外車専門。
③ 修理費リスク回避の“定額で新車”
車検・税金・メンテ込の月額で故障ストレスから解放。
ワンポイント
「走れるから大丈夫」と思っても、実際はいつ爆発するか分からない爆弾を抱えている状態です。
早めに動くほど、費用もダメージも抑えられます。
DIYで確認できるポイント
※ミッション・ターボ系はDIY判断が難しく、早期点検が安全。
走行して大丈夫?(緊急度)
- しばらく走行可能:軽度の吸気汚れ・点火ムラ
- 症状悪化のリスクあり:ターボ過給不足・クラッチ軽度滑り
- 走行NG(レッカー推奨):強いクラッチ滑り/全く進まない/異音を伴う場合
修理費用の目安
| 作業内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| DSG学習値リセット | 5,000〜12,000円 |
| DSGクラッチ交換 | 120,000〜200,000円 |
| インテークホース交換 | 8,000〜18,000円 |
| ターボアクチュエーター調整 | 10,000〜25,000円 |
| プラグ・コイル交換 | 15,000〜35,000円 |
| スロットル清掃 | 5,000〜15,000円 |
| キャリパー固着整備 | 10,000〜25,000円 |
| 診断料 | 5,000〜10,000円 |
※回転だけ上がる症状は高額修理に発展しやすいため、早期点検が最も安上がりです。
👉VW専門店ナイルプラスのメンテナンス・カスタムの費用&作業日数まとめ
同時に点検しておきたい関連部位
- DSGクラッチ学習値
- インテークホース
- ターボアクチュエーター
- スロットルボディ
- プラグ・コイル
- ブレーキキャリパー・スライドピン
- ドライブシャフト
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まとめ
「回転だけ上がって車がついてこない」症状は、DSGのクラッチ滑り、ターボの過給不足、吸気・点火・燃料系のパワー不足、ブレーキ引きずりなどが主な原因です。
放置するとクラッチ交換やターボ故障につながりやすい危険な状態。軽い違和感の段階で点検すれば費用を抑えられます。
症状が似ていても原因は車両ごとに異なります。
同じような異音・不調でも、ターボ・ベルト・センサーなど原因はさまざまです。
不安な場合は無理せず整備工場で点検してもらうのが安心です。
車種別の不具合詳細
不具合の“出方”は似ていても、「どのモデルでどんなトラブルが多いか」は車種ごとに少しずつ違います。
車種別の傾向や、他のオーナーに多い故障事例は、以下のページでまとめています。



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