2025年10月8日(水)、大阪・マイドームおおさかで開催された
「Import Tools Conference 2025 in Osaka」。
主催は、輸入工具販売のパイオニアである喜一工具株式会社。
KNIPEX、PB SWISS TOOLS、Wera、STAHLWILLE、そしてSIGNET──
世界を代表する5つのブランドが集い、「メーカーの想いを直接伝える」ための特別な1日となりました。
会場の温度感:スペックだけでは届かない“手の情報”



フロアに足を踏み入れると、金属のきしみでも歓声でもない、
“工具が手に馴染む音”が響く。
オンラインで何でも買える時代に、
手で触れ、担当者と短く言葉を交わし、また握って確かめる——
その循環こそが、このイベントの核でした。
運営はシンプルで、「触る時間」と「購入・受注時間」を明確に分けた導線設計。
来場者は慌てず比較検討でき、熱は終日、穏やかに高いまま。
ブランド発表からブース体験までの流れも自然で、
来場者はグリップの馴染み・クリックの確かさ・素材の剛性感を確かめながら、開発者に短く質問を重ねる。
パッケージ上の数字が、ここで初めて“実感”に変わる瞬間でした。
開会のことば:工具の“哲学”を届けたい
開会の挨拶に立ったのは、喜一工具代表取締役の石川武氏。
「工具の本当の価値は“手に取った瞬間の納得感”にある」
という一言が、会場の空気をピリッと引き締めました。
喜一工具がこのイベントを続ける理由——
それは、「作る人と使う人をつなぐ場」を守り続けること。
整備士、DIYファン、販売店、インフルエンサーまで。
立場を越えて“工具好き”が集う光景に、このイベントの意義が凝縮されていました。
STAHLWILLE:数字で支える信頼

最初の登壇はドイツの老舗、STAHLWILLE(スタビレー)。
トルクの精度と再現性を文化として積み上げる。
メカ式の“カチッ”という触覚フィードバック、
校正と工程管理の徹底、ヒューマンエラーを減らす設計思想——。
見えにくい“裏側”に、揺るぎない職人気質がありました。
登壇したUdo Hehemann氏は、航空産業や自動車メーカーでの採用事例を紹介。
±2%という高精度を支える“文化”に、来場者は静かにうなずきました。
「精度は偶然ではなく、文化の積み重ねだ。」
👉 関連:STAHLWILLE特集|航空業界も認める精度と信頼
KNIPEX:“買う前体験”の品質を上げる

続いて登壇したのは、プライヤーの王者KNIPEX(クニペックス)。
Pahl Dirk氏が語ったのは「Eコマース時代の販売品質向上」。
プレミアム工具をオンラインで正しく伝えるには、
PDP(商品詳細ページ)設計・画像・説明文・FAQ更新の全てが鍵。
誤表記や古い素材を放置しない“監視と修正の文化”が印象的でした。
要は、「握る前から始まる体験」をいかに整えるか、です。
展示では、喜一工具限定のブラック仕様プライヤーレンチが注目を集めました。
👉 関連:KNIPEX特集|プライヤー界の絶対王者が貫く精度と哲学
PB SWISS TOOLS:未来志向のスイスグリップ

スイスからはPB SWISS TOOLS(PBスイスツールズ)のMarco Baumann氏が登壇。
テーマは「環境に配慮した開発と新シリーズEVO」。
新世代グリップ“EVO”の軸は、人間工学×環境配慮。
再生素材を用いながら、“手に吸い付く感触”と耐久性を守る。
トレーサビリティ刻印は、「長く使い続ける前提」を静かに語ります。
「EVOは、スイスの自然と調和する新しい工具の形。」
展示ブースでは鮮やかなレッドのEVOドライバーが輝き、
「手に取った瞬間のバランスが最高」と語る来場者の声も印象的でした。
👉 関連:PB SWISS特集|精密と情熱が融合するスイス製ドライバーの世界
Wera:“工具を遊ぶ”発想でファンを魅了

ドイツのWera(ヴェラ)が登壇すると、会場の雰囲気が一変。
Sebastian Schwarzer氏によるテーマは
「商品開発コンセプトと情報発信の新しい形」。
スローガン“Be a Tool Rebel”の通り、Weraは「工具を楽しくする」ブランド。
締結ツールにフォーカスし、常識を疑い続ける。
“使いやすさ”と“使ってうれしい”の両輪でファンを増やす。
欲しい時に届くよう供給体制にも投資する——
作業を始める前から気分が上がる、それがWeraの武器です。
展示ではShadow Blackドライバーセットが話題に。
多くの来場者がカメラを向けていました。
「Weraは“機能美”ではなく、“感情美”を作るブランドだ。」
SIGNET:ブランドの再構築へ

最後に登壇したのはカナダのSIGNET(シグネット)。
喜一工具・加藤常務が登壇し、新たに開設される公式サイトと今後の展開方針を発表しました。
“手の届く価格で、確かな品質を。”
プロとDIYの中間を担う“バランスブランド”として、
新しいファン層の開拓に注目が集まりました。
展示エリアの熱気と体験

15時過ぎからは、各ブランドの展示ブースを自由に回遊。
新作ツールの実演や限定販売が行われ、
“握って確かめる”来場者の姿があちこちで見られました。
- PB EVOドライバー
- KNIPEX限定ブラックプライヤー
- Weraクリスマス限定セット
- STAHLWILLEツールキャビネット
- SIGNETトルクレンチ
さらに、TMSベースによるトルクレンチ無償校正サービスも実施。
「精度を守る文化」を肌で感じる企画でした。
イベント設計が優れていた理由
この3点で、来場者の納得の質がぐっと上がっていました。
工具の選び方は三層構造へ
今回のカンファレンスで印象的だったのは、
どのブランドも“工具を超えた価値”を語っていたこと。
それぞれの哲学が交わったこの日、
“輸入工具という文化”がまた一歩前へ進んだと感じました。
スペック(数値・規格・保証)
感触(グリップ、クリック感、重量バランス)
思想(環境配慮、再現性、情報の正しさ)
オンラインで比較し、会場で感触と思想を確かめ、家でまた考える。
この三層のどこかが欠けると、“作業の質”は揺らぐのかもしれません。
まとめ:工具は、作業の相棒であり、文化でもある
精度を積む人、環境と感触を両立させる人、
楽しさを生み出す人、正しく届ける仕組みを磨く人。
同じ「工具」でも、見ている景色はさまざま。
そしてそれらは、作業する人の背中へと確かにつながっています。
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