今回はVolkswagen(以下、VW)から販売されているセダンやワゴンの人気モデル「PASSAT(パサート)」で、よく見られる不具合と、その代表的な修理方法について紹介します。
PASSATはドイツ車らしい高い走行性能と快適性で人気を集めていますが、国産車とは少し違う部分もあるため、特有の故障やメンテナンスのポイントが存在します。
車好きの方やこれからPASSATに乗り始めようと思っている方も、ぜひ参考にしてみてください。
エンジンまわりの不具合

エンジンオイルのスラッジ(汚れ)の蓄積
【症状】
- エンジン内にたまったスラッジ(オイルの汚れ)が原因で、アイドリングが不安定になる
- 加速が悪くなる
- エンジン警告ランプが点灯する場合がある
エンジンオイルが古くなると、オイルに含まれる添加剤が劣化し、粘度が変わります。
そうするとエンジン内部に汚れがたまりやすくなり、オイルの通り道が詰まったり、潤滑が不十分になったりしてしまいます。
特にターボエンジンや直噴エンジンは熱による負荷が大きいため、スラッジが発生しやすいと言われています。
【修理・対処方法】
- 定期的なオイル交換(走行距離5,000kmから10,000kmごとを目安に交換)
- オイルフィルターの交換やエンジン内部洗浄(フラッシング)を併用して、徹底的に汚れを取り除く
PASSATは長い距離を走っても快適な走行を維持しやすい反面、オイル交換をサボるとエンジン内部に汚れが蓄積してトラブルを招きやすくなります。
早め早めのオイル交換が不具合の発生を防ぐための基本です。
イグニッションコイル(点火コイル)の故障
【症状】
- アイドリング時のエンジン振動が大きくなる
- 加速が鈍くなる
- エンジンチェックランプが点灯する
イグニッションコイルは、点火プラグに電圧を供給して燃焼を起こさせる重要なパーツです。
イグニッションコイルが故障すると、点火ミスが起き、エンジン出力が低下します。
国産車でもよくあるトラブルですが、PASSATを含むVW車では少し早い段階で起きることがあります。
【修理・対処方法】
- 点火コイルの交換
- あわせて点火プラグやプラグコードも点検し、傷みがあれば交換
イグニッションコイルは4気筒エンジンなら4本、6気筒エンジンなら6本など、シリンダーの数だけあります。
1本が故障すると他のコイルも同様に劣化していることが多いため、まとめて交換するケースも少なくありません。
タイミングチェーンテンショナーのトラブル
【症状】
- エンジン始動時に「カラカラ」というチェーンの音がする
- 走行中、エンジンから異音が増える
- 最悪の場合、バルブやピストンなどエンジン内部が大きく破損する
PASSATのTSIエンジンなど、一部のエンジンではタイミングチェーンテンショナー(チェーンの張り具合を保つ部品)の不具合が報告されています。
テンショナーが劣化するとチェーンが伸びたり、チェーンを適切に張れなくなってしまいます。
これを放置すると、エンジン内部で部品同士が干渉して深刻な故障につながるリスクがあります。
【修理・対処方法】
- 早めに整備工場で点検し、必要であればテンショナーの交換
- タイミングチェーンや関連部品も合わせて交換するケースが多い
テンショナー関連の修理は費用が高額になりがちですが、放置するとエンジン載せ替えが必要になるほど大きなダメージを受ける可能性もあります。
少しでも異音が気になったら、すぐに点検してもらうのがおすすめです。
トランスミッション(DSG)の不具合

VWの一部車種に搭載されるDSG(デュアルクラッチ式変速機)は、マニュアルとオートマチックの長所を組み合わせたような構造を持ち、スムーズで素早い変速が楽しめます。
一方、電子制御の複雑さから、メカトロニクスやクラッチまわりでトラブルが出ることもあります。
DSGメカトロニクスの故障
【症状】
- 変速ショックが大きくなる
- 変速がスムーズに行われない
- ギアが入らなくなる、または勝手にニュートラルになる
メカトロニクスはトランスミッション内の油圧やギアの切り替えを電子制御する頭脳部分です。
ここが故障すると変速が不安定になり、最悪の場合走行不能になることもあります。
【修理・対処方法】
- メカトロニクス本体の交換、あるいはリビルド品との交換
- トランスミッションオイル(DSGオイル)の交換や定期的なメンテナンス
DSGはオイル交換のサイクルがオートマチック車よりも短めです。
取扱説明書などで指定されている交換時期を守り、汚れが出ないようこまめにメンテナンスすることが重要です。
クラッチパックの摩耗
【症状】
- 加速時にエンジン回転数だけ先に上がって、うまく力が伝わらない
- シフトアップ・ダウンのタイミングでギクシャクする
DSGはクラッチを2組(奇数段用と偶数段用)備えていますが、走行を重ねるうちに摩耗が進みます。
街乗りや渋滞が多い環境では、どうしてもクラッチへの負担が大きくなりがちです。
【修理・対処方法】
- クラッチパックの交換
- 交換時にはメカトロニクスやフライホイールなど、周辺部品の点検も重要
クラッチの交換は高額になる傾向がありますが、放置するとギアがうまく噛み合わず、走行に不安を抱えることになります。
滑りが気になる場合は早めに専門工場に相談しましょう。
冷却系統の不具合

ウォーターポンプの故障・水漏れ
【症状】
- 冷却水が漏れている跡が駐車場に残る
- 冷却水の警告ランプが点灯する
- エンジンのオーバーヒート
VW車はウォーターポンプの故障例が比較的多いと言われています。
ウォーターポンプはエンジンの熱を冷却水で効率よく冷やすために循環させる役割を担っていますが、シール部分の劣化やプラスチック部品の破損などが発生しやすいです。
【修理・対処方法】
- ウォーターポンプの新品交換
- サーモスタットや冷却水ホースなど周辺部品も合わせて点検
ウォーターポンプが壊れるとエンジンを十分に冷やせず、重大なエンジントラブルにつながるおそれがあります。
冷却水が減っているサインを見逃さないように、ボンネットを開けてリザーバータンクの液量をチェックする習慣をつけましょう。
サーモスタットの不良
【症状】
- エンジンの温まりが遅い、または早すぎる
- 暖房の効きが悪い
- オーバーヒートする、もしくは水温が適正温度に達しない
サーモスタットがうまく作動しないと、冷却水の流れるタイミングが狂い、エンジンが適温を保つことが難しくなります。
【修理・対処方法】
- サーモスタットの交換
- パイプ類の詰まりや冷却水の汚れのチェック
サーモスタット自体は部品代が比較的安価ですが、交換作業に手間がかかるため工賃がかさむことがあります。
定期点検の際に一緒にチェックしてもらうとよいでしょう。
電装系の不具合

パワーウィンドウの故障
【症状】
- ウィンドウが途中で止まる、または動かない
- ウィンドウを閉めようとすると自動的に開いてしまう(挟み込み防止機能の誤作動)
パワーウィンドウを動かすモーターやレギュレーター(昇降装置)が消耗することで、ウィンドウが動かなくなることがあります。
VW車では、ドア内部の部品が故障しやすいケースも報告されています。
【修理・対処方法】
- モーターやレギュレーターの交換
- 配線に不具合がある場合は配線修理
部品代は比較的安価な場合もありますが、ドアの内装を外しての作業になるため、工賃がかかる傾向にあります。
異音や動きの遅さに気づいたら早めに点検することで、より大きな故障を防げることもあります。
ドアロックアクチュエーター(ドアロックの作動装置)の故障
【症状】
- ドアロックが反応しない
- 施錠・解錠の際、異音がする
- キーレスエントリーで開閉できない、または開閉動作が不安定
ドアロックアクチュエーターは施錠・解錠を切り替えるためのモーターと機械式の仕組みがセットになった部分です。
ここが壊れると、鍵を閉めたつもりでも開いていたり、逆に開かなくなったりして非常に不便です。
【修理・対処方法】
- 不具合のあるドアロックアクチュエーターの交換
- センサーやキーレスエントリーの電池切れを疑う場合は電池交換や設定のリセット
ドアの構造は複雑なので自分で直すのはハードルが高いかもしれません。
安全面にもかかわる場所なので、症状に気づいたら早めに整備工場で見てもらうことをおすすめします。
サスペンションまわりの不具合

サスペンションブッシュやボールジョイントの消耗
【症状】
- 段差を越えるときに「ゴツン」「ギシギシ」といった音がする
- 走行中の安定感が失われ、ハンドルがブレる感じがする
サスペンションのアーム類にはゴムブッシュやボールジョイントなどが使われています。
これらが古くなってくると振動を吸収しづらくなり、車内に余計な振動や音が伝わってくることがあります。
PASSATは快適性が高い反面、重量があり、足まわりに負担がかかりやすいとも言われています。
【修理・対処方法】
- ブッシュやボールジョイントの交換
- アライメント(タイヤの角度)の調整
部品だけなら国産車と同程度か、少し割高ぐらいのコストですが、足まわりを総合的にリフレッシュするとどうしても費用はかさみがちです。
車検のときにまとめて交換するなど、計画的なメンテナンスを意識するとよいでしょう。
修理費用とメンテナンスのポイント
ここまで挙げた不具合以外にも、欧州車特有の電気配線トラブルやセンサー類のエラーが発生することがあります。
国産車と比べると部品代・工賃がやや高い傾向にあるため、事前の点検やメンテナンスがとても大切です。
修理費用の目安は以下のとおり(あくまで目安です)。
もちろん、車の状態や整備工場によって値段は変動します。
また、ディーラーで純正部品を使うか、社外品やリビルド品(再生品)を使うかでもコストは異なるため、自分の予算と車の状態に合った選択をすることが大切です。
PASSATを長く快適に乗るために
PASSATは乗り心地が良く、長距離走行でも疲れにくい、高速安定性が高いといった特性を持っています。
これらの魅力を長く味わうためには、こまめなメンテナンスと点検が欠かせません。
- 定期オイル交換
エンジンオイルやトランスミッションオイルは早めに交換し、内部に汚れをためない。 - 異音や警告灯が出たらすぐに点検
「ちょっと変な音がする」「メーターに見慣れないランプが点いた」と思ったら、まずはサービス工場に相談しましょう。
早期発見が修理費を安く抑えるコツです。 - 足まわりのチェック
欧州車は足まわりがしっかりしている反面、消耗品にかかる負担が大きい場合があります。
ゴムブッシュなどは経年劣化しますので注意が必要です。 - 冷却水やブレーキフルードの交換時期を守る
ウォーターポンプなど冷却系統の故障を防ぐには、冷却水も古くならないうちに交換しましょう。
ブレーキフルードも放置するとブレーキ性能が落ちる可能性があり、危険です。 - 信頼できる整備工場やディーラーを見つける
専門知識を持つ整備士のいる工場を見つけられると安心です。
PASSATやVW車の整備実績が豊富な場所なら、故障の傾向や対処方法もよく理解しているはずです。
Volkswagen PASSATは上質な走りと快適な室内空間が魅力の一台ですが、輸入車ならではの故障ポイントが存在します。
とくにDSGまわりの電子制御部分や冷却系統、タイミングチェーンテンショナーなどは、定番の不具合箇所として知られています。
それでも、適切なメンテナンスをしっかり行い、症状が軽いうちに修理すれば大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
国産車と比較すると、部品交換や修理費用はやや高くなりがちです。
しかし、PASSATがもたらすヨーロッパ車らしい快適性や安定感は、長く乗るほどに魅力を感じる部分でもあります。
オイル交換や冷却水などの消耗品交換のタイミングを守り、少しでも異常を感じたら早めに整備工場へ相談しましょう。
信頼できる工場を選び、日頃のメンテナンスを怠らなければ、PASSATの上質なドライブ体験を長く続けることができるでしょう。
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