フォルクスワーゲン(Volkswagen、以下VW)のクリーンディーゼル車は、高い燃費性能とパワフルな走り、そして環境性能を両立しています。
その環境性能を陰で支えているのが「NOxセンサー(窒素酸化物センサー)」です。
NOxセンサーは、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)濃度をリアルタイムで検知し、エンジン制御や排ガス浄化システム(SCRシステム)に適切な指示を出す極めて重要なパーツです。
しかし、過酷な環境下にさらされるため、劣化や故障も避けられず、不調が発生すると燃費悪化や排ガス規制違反、エンジン出力低下に直結します。
この記事では、VW車におけるNOxセンサー不調の症状、原因、放置リスク、修理費用の目安、そして日常できる予防策について、わかりやすく解説していきます。
\パワートレイン系トラブル 症状と修理費用まとめ/
修理・整備内容 | 費用目安(税込) | 補足 |
---|---|---|
NOxセンサー交換(1本) | 約80,000〜150,000円 | 部品代+工賃込み |
NOxセンサー配線修理 | 約20,000〜50,000円 | 断線や接触不良時 |
触媒・SCRシステム再学習作業 | 約10,000〜20,000円 | センサー交換後に必要な場合あり |
NOxセンサーとは?
NOxセンサーは、排気ガス中の窒素酸化物(NO、NO2など)を測定するセンサーです。
VWのディーゼル車には通常、以下の2か所にNOxセンサーが設置されています。
この情報をもとに、エンジンコンピューター(ECU)が燃焼制御やAdBlue(尿素水)噴射量を調整し、排ガス規制をクリアしています。
NOxセンサー不調によくある症状
NOxセンサーに不具合が起きると、次のような症状が現れることが多いです。
エンジンチェックランプが点灯する
「エンジンシステム異常」や「排気システム異常」といったメッセージとともに警告灯が点灯します。
排ガス警告灯が点灯する
排気ガス中のNOx濃度異常を検知すると、専用の排ガス警告灯が点灯することもあります。
出力制限モードに入る
エンジン保護のため、出力が制限され、加速が鈍くなったり、最高速が制限されることがあります。
燃費が悪化する
空燃比調整やAdBlue噴射量制御が正常に行えず、燃費が悪化するケースもあります。
強制再生やAdBlue補充警告が頻発する
SCRシステムが適切に機能しなくなり、不要な再生作業やAdBlue消費が増えることもあります。
NOxセンサー不調の主な原因
VW車でNOxセンサーに不調が発生する原因には、次のようなものがあります。
センサー素子の劣化
高温・高圧の排気ガスに常にさらされるため、5万~10万km程度でセンサー素子が劣化しやすくなります。
排気中のススや汚れの付着
燃焼状態が悪いと排気中にススが増え、NOxセンサーの測定面に付着して性能が低下します。
センサー内部ヒーターの故障
NOxセンサー内部にはヒーターがあり、これが故障すると測定温度を維持できず、エラーが発生します。
配線・コネクターの損傷
高温環境で劣化したり、走行中の振動で配線が断線することもあり、信号が正しく伝わらなくなります。
不調を放置するとどうなるか?

NOxセンサー不調を放置すると、次のようなリスクが高まります。
警告灯が点灯したら無視せず、できるだけ早く点検・修理することが非常に重要です。
修理・交換費用の目安
VW車のNOxセンサー修理・交換にかかる費用目安は次のとおりです。
修理・整備内容 | 費用目安(税込) | 補足 |
---|---|---|
NOxセンサー交換(1本) | 約80,000〜150,000円 | 部品代+工賃込み |
NOxセンサー配線修理 | 約20,000〜50,000円 | 断線や接触不良時 |
触媒・SCRシステム再学習作業 | 約10,000〜20,000円 | センサー交換後に必要な場合あり |
※モデルによってセンサー価格が大きく異なるため、必ず車両ごとに見積もりを確認しましょう。
日常的にできる点検・予防方法
NOxセンサーの劣化を防ぎ、長持ちさせるために、普段からできるケアを紹介します。
良質な燃料を使用する
ディーゼル燃料の品質が悪いと排気ガスが汚れ、センサーへの負担が増します。信頼できるスタンドで給油しましょう。
エンジンオイル管理を徹底する
燃焼室内部の汚れを防ぐため、オイル交換を適切なタイミングで行いましょう。
定期的に高速走行を取り入れる
排気温度を高めてススの付着を抑えるため、たまには高速道路でエンジン回転を上げる走行をしましょう。
警告灯点灯時はすぐに点検する
「少しぐらい大丈夫」と放置せず、すぐに診断機チェックを受けることが、トラブル拡大を防ぎます。
違和感を放置せず早めに対応
VW車の高い環境性能と走行性能は、NOxセンサーの正確な働きに大きく支えられています。
この小さなセンサーの不調を軽視せず、こまめな点検と早めの対応を心がけることで、高額な修理費用を防ぎ、快適で安心なVWライフを長く楽しむことができます。
これからも愛車と長く付き合っていくために、ぜひNOxセンサーにも気を配っていきましょう。
あなたのVWは、きっとその心配りに応えてくれるはずです。
パワートレイン系(エンジン・駆動・排気・冷却)の不具合と修理費用まとめ
コメント