今回は、Volkswagen(以下フォルクスワーゲン)の人気モデル「Golf 8(ゴルフ8)」における、よくある不具合とその修理方法について解説します。
ゴルフは世界的にも評価が高く、多くのファンを持つコンパクトハッチバックですが、ゴルフ8でも、いくつかのトラブルが報告されています。
この記事では、主に下記のような項目に着目してお話しします。
本記事では、それぞれのトラブルの事例や原因、修理や対処の仕方を解説していきます。
愛車を長く快適に乗るために参考にしていただければ幸いです。
トラブル内容 | よくある症状 | 主な原因 | 修理・対処法 |
---|---|---|---|
電子制御系の不具合 | ・タッチパネル誤作動 ・スマホ接続不安定 | ソフトウェアバグ 配線不良 センサー不良 | ソフトアップデート 再起動・ペアリング再設定 ディーラー点検 |
DSGのトラブル | ・変速ショック ・ギクシャク感 ・異音や警告灯点灯 | メカトロニクス故障 クラッチ摩耗 オイル劣化 | ソフトアップデート メカトロ・クラッチ交換 DSGオイル交換 早期点検 |
エンジン関連の警告灯・アイドリング不調 | ・エンジン警告灯点灯 ・アイドリングストップ不作動 | センサー異常 バッテリー劣化 制御バグ | OBD診断・センサー交換 バッテリー点検・交換 ソフトアップデート |
ADAS関連の不具合 | ・緊急ブレーキ誤作動 ・レーンキープ不調 ・パーキングセンサー過剰反応 | センサー汚れ・故障 ソフト不具合 | センサー清掃・交換 ソフトアップデート 再キャリブレーション |
内装やドアの異音 | ・ドアきしみ音 ・ダッシュボード付近のカタカタ音 | ゴム劣化 パネル組み付け甘い | シリコングリス塗布 パッキン交換 防振材追加・増し締め 保証期間内なら無料補修 |
電子制御系(インフォテイメントシステム、コネクティビティ)の不具合

タッチパネルの反応不良・フリーズ
ゴルフ8では、センターコンソールに配置された大型のタッチパネルを使ってエアコン設定やカーナビ、オーディオ操作をおこなう仕組みが採用されています。
しかし、このタッチパネルがまれに反応しなくなったり、フリーズしたりする報告があります。
原因としては、タッチパネルのソフトウェアの不具合や、システム全体の処理が追いつかないことなどが考えられます。
修理・対処方法
ソフトウェアアップデート
まずは正規ディーラーに相談し、ソフトウェアアップデートを実施してもらいましょう。
メーカーからリリースされる最新バージョンを適用することで、バグや動作不安定が改善されるケースが多いです。
システム再起動
突発的にフリーズした場合は、一度エンジンを切りドアを開閉して車の電源を落とした後、数分後に再度起動してみるとシステムがリセットされることがあります。
応急処置としては有効ですが、頻繁に起きる場合は早めに専門家に見てもらいましょう。
スマートフォンとの接続(Bluetooth、Apple CarPlay、Android Auto)の不安定
スマートフォンとの連携機能が充実している反面、接続が途切れやすい、画面がバグを起こす、音声が出ないなどの報告もあります。
原因としては、車側とスマートフォン側の両方のソフトウェアバージョンの差異や、ペアリング情報がうまく同期されていない場合が多いです。
修理・対処方法
ペアリングの再設定
設定画面から、BluetoothやCarPlay、Android Autoの登録情報を一度削除し、再接続を試みます。
スマートフォンのOSアップデート
スマホ側のOSが最新でない場合、車載システムと互換性の問題が起きることがあります。
最新バージョンにしてから再度接続しましょう。
ディーラーでの点検
何度やっても接続できない場合や、音声通話の品質が極端に低下する場合は、車載側のシステム不具合も考えられます。
ディーラーでの点検をおすすめします。
トランスミッション(DSG)関連の問題

シフトショックや加速時のギクシャク感
フォルクスワーゲンのDSG(デュアルクラッチトランスミッション)は、スムーズな変速と燃費性能が評価される一方、低速時や渋滞走行時にシフトショックやギクシャク感を感じるという声があります。
ゴルフ8の場合も、スタート時に一瞬発進が遅れる、アクセルオン・オフのタイミングで変速が揺れるといった症状がみられることがあります。
修理・対処方法
ソフトウェアのアップデート
トランスミッション制御用のソフトウェアに改善プログラムが提供されている場合があり、最新の制御ロジックを反映することで症状が和らぐことがあります。
油圧系やメカトロニクスの点検
シフトショックが顕著な場合は、DSG内部の油圧系部品やメカトロニクス(変速制御の中枢)の不具合が疑われます。
早めにディーラーや専門工場で点検を受けましょう。
定期的なオイル交換
DSGオイルが劣化すると、変速ショックが増える場合があります。
走行距離や使用状況に合わせて、規定のインターバルでオイル交換をおこないましょう。
異音や警告ランプ点灯
DSGまわりで「ガラガラ」や「カチカチ」といった異音が聞こえたり、トランスミッション警告ランプが点灯する例もあります。
電子制御部分の故障やクラッチの摩耗など、さまざまな原因が考えられます。
修理・対処方法
早期点検
警告ランプが点灯している場合は走行を続けるより、まずは安全な場所に停車し、取扱説明書を確認するか、ディーラーに連絡しましょう。
部品交換
クラッチやメカトロニクスに深刻なダメージがある場合は部品交換が必要です。
保証期間内なら保証修理が受けられる場合もあるので、一度点検に出すことをおすすめします。
エンジン周辺の警告ランプやアイドリングストップ機能のトラブル

エンジン警告灯が頻繁につく
ゴルフ8に限らず、最近の車はセンサーが多いため、ちょっとした原因でも警告灯が点くケースが増えています。
センサーの一時的な読み取りエラーで点く場合もあれば、本当に燃料系や排気系に問題があって点灯している可能性もあります。
修理・対処方法
OBD-II診断機でチェック
正規ディーラーや整備工場でスキャンツールを使い、エラーコードを確認してもらいます。
コード内容によってはセンサー交換やソフトウェアリセットが必要になる場合があります。
様子見は危険
警告ランプがついたまま走り続けると、二次的な故障を招くこともあります。
大きなトラブルになる前に必ず点検を受けましょう。
アイドリングストップが作動しない・勝手にオフになる
燃費向上のためのアイドリングストップ機能がうまく作動しないという声もあります。
気温やバッテリー状態などが原因で、一時的に機能がオフになることは正常な挙動ですが、あまりにも頻繁に不調が続く場合はバッテリーや制御系の問題が疑われます。
修理・対処方法
バッテリー状態の確認
アイドリングストップ機能は、バッテリー電圧やエアコン使用状況など、車に負荷がかかると作動しない設計です。
バッテリー劣化がある場合は交換が必要になるかもしれません。
制御モジュールのアップデート
アイドリングストップ制御のソフトウェア不具合が過去に報告されており、アップデートで改善する例があります。
ディーラーでの確認をおすすめします。
アシストシステム(ADAS)まわりのセンサー関連の不調

緊急ブレーキやレーンキープの誤作動
ゴルフ8に搭載されている先進運転支援システム(ADAS)は、カメラやレーダー、センサーによって周囲の状況を検知します。
しかし、センサーの汚れや車両側ソフトウェアのバグなどで、急に警告音が鳴ったり、誤作動を起こすことがあります。
修理・対処方法
センサー周辺の清掃
バンパーやフロントガラスのカメラ部分が汚れていると正しく認識できず、誤作動につながります。
洗車時にはこれらの部分を丁寧に洗いましょう。
ソフトウェアアップデート
ADASの制御ソフトに不具合がある場合は、ディーラーの診断を受けてアップデートしてもらいましょう。
誤作動が続く場合は専門家に相談
たまたま一度警告が出るくらいなら様子見でもいいですが、頻繁に起こる場合は整備工場での点検が必要です。
センサーやユニットが故障している可能性があります。
パーキングセンサーの過剰反応
駐車時に役立つパーキングセンサーが、障害物がないのに反応してしまう、常に警告音を発してしまうという不具合も見られます。
雨や雪の時期、センサーが水分や汚れによって誤検知しやすくなることもあります。
修理・対処方法
センサーまわりのチェック
泥や雪がついていないかを確認し、こまめに拭き取ります。
点検と再キャリブレーション
センサーの位置や取り付けがずれている可能性もあります。
ディーラーで再キャリブレーションをしてもらうと改善する場合が多いです。
内装やドアまわりの異音・不具合

ドアのゴムパッキンのきしみ音
新車時は静粛性に優れているゴルフ8ですが、走行距離が伸びたり、季節の変化でドアまわりのゴムパッキンが硬くなったりすると、開閉時にきしみ音が発生することがあります。
修理・対処方法
シリコングリスの塗布
ドアのゴムパッキン部分に適度にシリコングリスを塗布すると、きしみ音が軽減します。
やり過ぎは汚れの原因になるので、適度な量を心がけてください。
パッキンの交換
深刻な劣化があれば新品に交換する必要があります。
ディーラーや部品専門店に相談しましょう。
ダッシュボードやコンソール付近の異音
段差を超えたときなどに、「カタカタ」「ビビリ音」が発生するケースがあります。
パネルの組み付けがやや甘かったり、樹脂パーツが振動して音が出ることも考えられます。
修理・対処方法
増し締めや防振材の追加
プラスチックパーツの結合部分を増し締めしてもらったり、防振テープを貼ったりすることで改善する例が多いです。
保証期間内の対応
新車保証期間中であれば、ディーラーでの調整や補修を無料で受けられる場合があります。
一度相談してみましょう。
- 警告灯点灯のみ/走行可能
→ OBDチェック → センサー系/ソフトなら軽症。専門工場で診断予約 - 変速ショック・異音あり
→ DSG油温/学習値/メカトロ点検。
見積が30〜50万円なら修理or乗換比較。 - 再発・複数系統の警告
→ 将来故障リスク高。外車専門買取+リースで総額最適化。
定期メンテナンスやリコール情報への対応方法
メンテナンスパッケージの活用
ゴルフ8を含むフォルクスワーゲン車では、定期点検やオイル交換などが含まれたメンテナンスパッケージを用意していることがあります。
適切なメンテナンスを受けていると、不具合を未然に防げるだけでなく、トラブルが起きても保証やディーラーサポートを受けやすくなるメリットがあります。
リコール情報の確認
メーカーは重大な不具合が判明した場合、リコールという形で部品交換やソフトウェアアップデートを実施します。
フォルクスワーゲンジャパンの公式サイトや国土交通省のリコール情報で、愛車の車台番号が対象になっていないか確認し、もし該当すれば速やかにディーラーに連絡を入れましょう。
保証延長を検討する
ゴルフ8の保証期間は通常、新車購入時から3年または走行距離6万km程度が多いですが、延長保証プランを用意している場合もあります。
輸入車は部品代や工賃が高額になることもあるので、不安を感じる方は延長保証を検討してみてもよいでしょう。
ゴルフ8は新しい技術を多く取り入れているため、電子制御関連やソフトウェアが関係するトラブルが起こりやすいという一面があります。
また、DSGをはじめとした高度なメカニズムが組み込まれている分、定期的なオイル交換やメンテナンスが非常に重要です。
しかし、不具合があるとはいえ、ゴルフ8は安全性や走行性能、そして快適性に優れた車であることも事実です。
大切なのは、以下のポイントをしっかり押さえておくことです。
- ソフトウェアアップデートを定期的に確認:
インフォテイメントやADASなど、電子制御が多用されているため、メーカーからアップデートが出ていないかをこまめにチェックしましょう。 - 異音や警告ランプは早めに対処:
放置すると修理費用が高くなり、故障範囲も拡大する可能性があります。
小さい異変も見逃さず、早めに点検へ。 - 正規ディーラーや専門工場の活用:
最新の診断機を備え、メーカーからの情報を正しく反映しているディーラーや専門工場なら、スムーズな修理対応が期待できます。 - 保証やメンテナンスプランの検討
不具合リスクに備えて、購入時や初回点検時に延長保証やメンテナンスパッケージに加入するのも手です。 - リコール情報のチェック
対象となる車台番号がある場合は、速やかにディーラーに連絡して無償修理を受けましょう。
日常の点検や清掃、ソフトウェアのアップデートをしっかりおこなっていれば、多くのトラブルを事前に回避しやすくなります。
輸入車ゆえに国産車と比べると部品代や修理費が高くなる傾向にありますが、事前の対策やこまめな整備を心がけておけば、愛車をベストな状態で長く楽しむことができます。
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