――ファミリーカーとしてもアウトドアのお供としても大人気のシャラン。
しかし「大きくて便利=壊れにくい」わけではありません。
この記事ではオーナーが遭遇しやすいトラブルと、実際に現場で行われている修理ノウハウを、解説します。
1 シャランの“持病”をざっくり把握しよう
シャランは、ゴルフやパサートと多くのパーツを共通していますが、重いボディゆえに各パーツへの負荷は大きめ。そのため、下記の3つは「シャラン三大あるある」とも言われる定番の故障ポイントです。
よくある故障部位 | 内容・注意点 |
---|---|
DSGトランスミッション | 乾式DSG(DQ200)に多いジャダー・変速ショック・走行不能などのトラブル。 メカトロニクスやクラッチの不具合が原因となることが多いです。 |
1.4 TSIエンジン | 初期型はタイミングチェーンの伸びやオイル消費などが報告されています。 特に5万km前後からの消耗に注意。 |
電動スライドドア | モーターやスイッチの不良、配線の断線などで開閉不良が起きやすい部位。 定期的な点検や動作確認が大切です。 |
中古で買うなら「整備履歴」の確認が超重要!
これらの部位は突然トラブルが出ることも多く、修理費も高額になりがちです。
中古車を検討している方は、過去にどんな修理がされたか(メカトロ交換・スライドドアモーター交換など)を記録で確認するのがポイントです。
定番トラブルを避けることで、安心して長くシャランと付き合うことができます。
2 トランスミッション編:DSGがギクシャクする

シャランに搭載されているDSG(デュアルクラッチトランスミッション)は、スムーズな変速が魅力ですが、特に乾式7速(DQ200)や6速湿式(DQ250)では不具合が出やすいとされています。
症状 | 内容 |
---|---|
■ 発進時に「ガクン」と衝撃 | 停車から走り出すときにギクシャクする感覚 |
■ ギアが入らない警告 | メーターに「ギアが入りません」などの表示 |
■ 加速時に空ぶかし | Dレンジで加速すると3,000rpm付近で空転感(クラッチ滑り) |
主な原因と対策
原因 | 内容・対処法 |
---|---|
メカトロニクスの熱ダレ・誤作動 | 長時間の渋滞や高負荷走行で制御ユニットが不調に。 → ソフトウェアのアップデートや分解修理で回復するケースも。 |
クラッチパックの摩耗 | 9万km以上の車両は要注意。滑りや変速ショックが目立つようなら交換推奨。 → 修理費は20〜30万円前後が相場。 |
ATF/ギアオイルの劣化 | 特に6速湿式DSGでは4万kmごとの交換が必須。フィルター交換もセットで行う。 → 放置すると内部にスラッジが蓄積し、走行不能に直結することも。 |
ちょっとでも「変だな?」と感じたら
DSGは初期のサインを見逃すと一気に悪化します。
「変速のつながりがおかしい」「発進時に違和感がある」など、少しでも異変を感じたら早めに専門店で診断を受けましょう。
予防メンテナンスとして、DSGオイル交換・ソフト更新の記録がある中古車は安心材料になります。
走行不能になるので、「変だな」と思ったらすぐ専門店へ。
3 エンジン編:1.4 TSIと2.0 TDIの弱点

シャランに搭載されている1.4L TSI(ガソリン)と2.0L TDI(ディーゼル)エンジンには、それぞれ特有のウィークポイントがあります。
定番の症状と修理傾向を以下にまとめました。
▶ 1.4 TSI(ガソリンエンジン)
症状 | 原因・対策 | 修理費目安 |
---|---|---|
始動直後に「ジャラジャラ音」 | タイミングチェーンの伸びやテンショナーの不具合。 放置するとバルブタイミングが狂って深刻なダメージに。 | チェーン+テンショナー総交換で15万〜20万円 |
エンジン前方から冷却水漏れ | ウォーターポンプとサーモスタットハウジングの劣化(樹脂製)。 特に夏やアイドリング時に漏れやすい。 | 社外製のアルミ製ハウジングへの交換がおすすめ |
▶ 2.0 TDI(ディーゼルエンジン)
症状 | 原因・対策 | 修理費目安 |
---|---|---|
加速が鈍く、白煙が出る | EGRクーラーのスス詰まり。 排ガス循環がうまくいかず燃焼効率が低下。 → 専用洗浄 or リビルト交換が主流。 | 数万円〜10万円程度(状態による) |
冬にAdBlue詰まり・警告灯点灯 | AdBlue(尿素水)ヒーターの不良により結晶化しやすくなる。 → ヒーターAssyの丸ごと交換が必要。 | 部品+工賃で7万〜10万円前後 |
予防のコツと購入時のチェックポイント
中古車購入時は、「チェーン交換歴」「EGR清掃歴」などの記録があるかを確認すると安心です。
4 冷却・空調編:オーバーヒートとエアコン

シャランは車体が大きく、冷却や空調まわりの負担も大きめです。
夏場のトラブルは特に深刻化しやすいため、以下の2点は要注意です。
症状・トラブル | 主な原因 | 対処・予防策 |
---|---|---|
アイドリング中に水温が急上昇 | 電動ファンリレーの固着により、冷却ファンが作動しない | ・ファンが回っていなければリレーの作動確認・交換 ・水温警告灯が点灯する前に気づくのがカギ |
エアコンから異音、冷えが悪い | コンプレッサーの内部焼き付きや潤滑不足 | ・夏前にガス量チェックとオイル補充を習慣化 ・「キュルキュル」「カラカラ」といった音が出たら早めの交換が無難 |
早期発見がコストダウンの鍵
予防メンテナンス(季節前点検・オイル管理)でトラブルを回避しましょう。
5 電装・快適装備編:スライドドアとテールゲート

シャランの魅力のひとつである電動スライドドアやテールゲートですが、その分トラブルも起こりやすい部位。
故障すると不便だけでなく、安全面にも関わるため要注意です。
症状・トラブル | 主な原因 | 修理内容・費用目安 |
---|---|---|
ドアが途中で止まる/警告音が鳴る | スライドドアハーネスの断線が最多 | ケーブル部分の補修:約2万円 ハーネス丸ごと交換:約4万円 |
ドアが最後まで閉まり切らない(ソフトクローズ不良) | ソフトクローズ用モーターのギア欠け | リビルトモーターに交換:比較的安価で修理可能 |
テールゲートがゆっくり開かない/閉まりきらない | ダンパーの経年劣化(10万km前後で多発) | 社外強化ダンパーに左右セットで交換がおすすめ |
放置は危険!早めの対処が安全・快適につながる
6 足回り編:ブッシュ&ブーツの消耗

シャランは大柄なミニバンのため、足回りへの負担も大きく、消耗部品の劣化が早めに出やすい傾向があります。
特にブッシュやブーツの劣化は乗り心地や走行安全性に直結するため、早めの対処が重要です。
症状・トラブル | 主な原因 | 修理内容・アドバイス |
---|---|---|
ハンドルを切ると「ギギッ」と音がする | ロアアームブッシュのひび割れ・硬化 | 単体交換よりも、社外強化ロアアームAssyごと交換が安く済むケースも |
タイヤハウス内にグリース飛び散り | ドライブシャフトブーツの破れによるグリース漏れ | ブーツのみ交換なら安価に済む(部品代+工賃で1万〜2万円台) ※「カリカリ音」が出る前ならジョイントは無事なことが多い |
足回りは音と見た目で劣化を見抜こう
7 予防メンテナンスとパーツ選びのコツ
シャランはしっかり手をかければ長く乗れる一台。トラブルを未然に防ぐためには、日々のメンテナンスと賢いパーツ選びがカギです。
メンテナンスポイント | 解説・アドバイス |
---|---|
純正指定オイルを厳守 | DSGもエンジンもオイル管理が寿命を左右。 粘度(例:5W-30)だけでなく、VWの承認規格番号(例:VW 504 00/507 00)を確認して選ぶことが重要。 |
診断機で“見えない異常”を監視 | VCDSやOBDelevenなどのOBD診断ツールを使えば、エラーコードの蓄積やセンサー値の異常を早期に発見可能。 定期的にログを確認する習慣をつけると安心。 |
消耗品は社外強化品も視野に | ウォーターポンプやブッシュなど、樹脂パーツは社外アルミ製や強化ゴム製のほうが耐久性が高い。 ディーラー純正より安くて高性能なケースも多く、コスパ◎。 |
「壊れてから」より「壊れる前のケア」が断然おトク
8 大きな安心は“小さな手当て”から
シャランは広くて快適、そして走りもゴキゲン。
ただしその快適さを支える部品は精密で、オーナーの手入れをサボると一気に高額修理へ転落します。
「異変に気づいたら即チェック」「オイルと消耗品はケチらない」――この二つを守るだけで、あなたのシャランはまだまだ頼れる相棒でいてくれるはずです。
長距離ドライブや家族サービスを思い切り楽しむためにも、日頃のメンテを怠らないようにしましょう。
さあ今週末はガレージでボンネットを開け、愛車とゆっくり対話してみてはいかがでしょう?
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