近年のVolkswagen車は、ほとんどの機能が電子制御によって管理されています。
その中で「コーディング」と呼ばれる作業は、車両内部の制御データを適切に書き換え、
純正システムの範囲内で設定値を変更する技術です。
代表的な事例として挙げられるのが、走行中のテレビ映像制限を解除する「テレビキャンセル」です。
本来は安全のため、一定速度以上で映像出力が停止しますが、同乗者の利便性を考慮して
この制御値を調整することが可能です。
本記事では、Golf7.5を例に、テレビキャンセルの基本原理、
コーディングの安全性、そして正しい設定管理のポイントを解説します。
YouTube参考リンク:「Golf7.5 テレビキャンセル設定とコーディングの基本」
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コーディングとは何か
Golf7.5のテレビキャンセルを理解するうえで、まず押さえておきたいのが「コーディング」という仕組みです。ここでは、専門用語をシンプルにしながら基本をまとめます。
コーディングの役割
現代のVolkswagenは、車のほとんどの機能をコンピューターで管理しています。
ライトの制御、メーター表示、ロック動作、そしてメディア関係まで、すべてが「ECU」と呼ばれる制御ユニットで動いています。
そのECUには多くの設定項目があり、そこに記録された値を変更する作業が「コーディング」です。
コーディングというと難しく感じますが、本質は「車がすでに持っている機能を、許されている範囲で使いやすく調整する」作業です。
これによって新たな部品を追加せずとも、利便性を向上させることができます。
ECU(電子制御ユニット)の仕組み
車には複数のECUがあり、それぞれ役割を分担しています。
エンジン、エアコン、ボディ制御、メディアユニットなど、数十個のユニットが車内ネットワークでつながり、情報をやり取りしています。Golf7.5では「CAN」と呼ばれる方式で通信しており、各ユニットに必要なデータを送る仕組みが整っています。
テレビキャンセルで操作するのは、主にメディア系のECUです。
このユニットには「一定以上の速度で映像再生を止める」という安全機能が備わっています。
設定変更による機能拡張とその限界
コーディングによって変更できる項目は、純正の範囲内に収まっています。
たとえば、ライト点灯のタイミング、ドアロックの挙動、ウインカー回数など、車がもともと持っている設定値を調整するだけです。
ただし、すべての項目が自由に変更できるわけではありません。
項目自体がロックされていたり、変更するとエラーが出るものもあります。
そのため、正しい知識と適切なツールの使用が不可欠です。
テレビキャンセルにおけるコーディング
テレビキャンセルは、ECUに登録されている「速度制限値」を調整することで動作します。
たとえば、純正では「6km/h以上で映像オフ」と設定されている部分を変更し、走行中でも映像を止めないように調整するわけです。
重要なのは、これは車の根本的な仕組みを変える作業ではなく、「設定値の変更」であるという点です。
そのため、適切に作業すれば車両に無理をさせることはありません。
テレビキャンセルの仕組み
ここでは、Golf7.5のテレビキャンセルがどのような仕組みで動いているのかを説明します。
大事なのは「なぜ走行中に映像が止まるのか」「どこを調整すると解除できるのか」というポイントです。
映像制御と速度信号の関係
Golf7.5を含む多くのVolkswagen車では、テレビやDVDなどの映像は「安全のため、一定以上の速度で自動的に停止する」ように設定されています。
これは車両の速度を監視するECUから「今●km/hで走っている」という信号がメディアユニットへ送られ、その値が閾値(特定の数字)を超えると映像が止まる仕組みです。
この速度情報はスピードメーターと同じデータを使っているため、非常に正確です。
純正仕様では多くの場合「約6km/h以上」で映像出力が遮断されます。
VIM(Video In Motion)機能とは
テレビキャンセルの作業では「VIM」という言葉がよく出てきます。
これは「Video In Motion=走行中の映像再生」の略で、映像制限を管理している設定項目です。
VIMは、メディアユニットの内部にある「設定値のひとつ」であり、これを操作することで走行中の映像出力を調整できます。
つまり、テレビキャンセルとはVIMに関連する値を変更する作業のことです。
速度制限値(例:6km/h)を変更する技術的原理
純正状態では、速度が制限値(6km/hなど)を超えた瞬間に、メディアユニットは「走行中映像を停止する」という命令を実行します。
そこで、コーディングを使って
・この制限値を上げる
・もしくは制限そのものを無効化する
といった設定に変更します。
具体的には、
・速度閾値が書かれた項目を別の値に書き換える
・必要に応じて複数の関連パラメータを調整する
ことで、走行中でも映像が止まらなくなります。
Golf7.5での特徴

Golf7.5はメディアシステムが進化した世代であり、以前のモデルよりも細かい制御が追加されています。
そのため、VIMの項目が複数に分かれていたり、関連する設定が別ユニットにある場合もあります。
ここが作業を難しく感じるポイントですが、原理自体は変わりません。
安全装置を壊す作業ではない
テレビキャンセルというと、「危険な制御を無効化しているのでは」と心配される方もいますが、実際には車両の基本制御には触れていません。
速度制御やブレーキ制御には一切影響がなく、あくまで映像出力の条件だけを変える作業です。
設定変更の手順と確認ポイント
ここでは、Golf7.5のテレビキャンセル設定を実際に変更する際の流れを、できるだけ分かりやすく整理していきます。作業内容は専門的な部分もありますが、大まかな流れをつかむことで「何をしているのか」が理解しやすくなります。
使用するツールと基本画面の構成
設定変更には、OBD2ポートに接続してECUへアクセスできる専用ツールを使います。
Golf7.5の場合、以下のような診断・コーディングツールが一般的です。
- VCDS
- OBDeleven
- VAS類似インターフェース
これらのツールは、車両の各制御ユニット(ECU)へアクセスし、その中にある設定値を読み出すことができます。
テレビキャンセルに関する設定は、メディアユニットやインフォテインメント関連のECU内に含まれるため、そのユニットを選択して作業を進めます。
変更対象項目の確認
テレビキャンセルで触るべき項目は、主にVIM(Video In Motion)に関わる設定値です。
Golf7.5では、次のような項目が表示されることがあります。
- Speed threshold for video playback
- VIM Activation
- Video speed limit
これらは「映像表示が止まる速度」「映像出力の可否」「制限値」などを管理しているパラメータです。
多くのケースでは、
・速度制限値を上げる
・制限そのものを無効化する
などの方法がとられます。
書き換えの流れ
作業の一般的な流れは次の通りです。
- 該当ECUへ接続する
- コーディングまたはアダプテーション画面を開く
- VIM関連項目を検索する
- 現在の値を読み出し、必要な設定値へ変更する
- 保存して反映させる
作業は一見シンプルですが、
・誤ったECUを触らないこと
・値を適切に保存すること
・途中で通信を切らないこと
が重要です。
特に、作業中の電源断や通信切断はトラブルの原因になります。
コーディング後の動作チェック
設定を保存した後は、必ず走行テストを行い、以下の点を確認します。
また、念のためエンジンOFF→ONを何度か繰り返し、設定が保持されているかを見ます。
Golf7.5ならではの確認事項
Golf7.5は、モデルによってメディアユニットのバージョンが異なります。
そのため、
・項目名が微妙に違う
・VIMが複数項目に分かれている
ということがあります。
もし、どの項目を触るべきか判断に迷う場合は、
変更前のバックアップを必ず保存しておき、比較しながら慎重に進めることが大切です。
安全性とリスク管理
テレビキャンセルのコーディングは、仕組みを理解したうえで正しく行えば大きな問題は起きません。しかし、電子制御が中心の現代のVolkswagen車では、ちょっとした誤設定や操作ミスが不具合の原因になることもあります。ここでは安全に作業するための基本と、避けたいリスクについて整理します。
コーディングが車両制御へ与える影響
テレビキャンセルで書き換えるのは、主にインフォテインメント関連の制御部分です。エンジン制御やブレーキ制御とは独立しているため、基本的に車の走行性能には直接関係しません。
ただし、ECUは複数のシステムがネットワークのようにつながっており、設定値によっては予期せぬ動作を引き起こす可能性があります。
たとえば、
・設定が保存されずメディアユニットが再起動を繰り返す
・速度信号との連携がうまくいかず、ナビ表示に遅延が出る
といった症状が出ることがあります。
これらは適正なツールを使用し、正しい項目のみ変更すれば防げる問題です。
誤設定によるトラブル事例
テレビキャンセルの作業に関連して起こりやすいトラブルには、次のようなものがあります。
特に「バックアップを取らずに進めてしまう」ことは大きなリスクです。
ECUの設定は細かい項目が多く、ひとつのミスが大きな問題に発展する場合があります。
純正プロトコルを守ることの重要性
近年のVW車はセキュリティも強化されており、ECUへのアクセス手順が厳密に管理されています。
そのため、安全性を守るうえで大切なのは次の3つです。
- 純正手順を踏むツールを使う
- 対応した通信プロトコルでアクセスする
- 速度や映像など、安全にかかわる項目を無理に改変しない
これらを守ることで、車両側が本来意図していない動作をさせず、トラブルを避けられます。
トラブルを防ぐための実践的ポイント
作業を安全に行うために、次の点を必ず押さえておきましょう。
特にバッテリー電圧は見落とされがちなポイントです。
電圧が下がった状態で書き換えを行うと、途中で通信が切れることがあり、最悪の場合ユニットが起動しなくなります。
テレビキャンセルは「便利さを高めるための調整」であり、本来の安全装置を無理に外す作業ではありません。
正しい知識と手順で行えば、車に無理をさせることもありません。
ただし、設定後の映像に気を取られて運転に支障が出てしまっては本末転倒です。
同乗者の快適さと、ドライバーの安全意識を両立させることが大切です。
コーディング活用の可能性
テレビキャンセルはコーディングで行える設定変更の一つにすぎません。Golf7.5のように電子制御が発達したモデルでは、車の使い勝手を細かく調整したり、純正仕様のまま快適性を高めることができます。ここでは、日常で役立つ設定例や、メンテナンス面での利点をわかりやすくまとめます。
車の個性を引き出す設定例
VW車では、純正の範囲内にも多くの調整項目が用意されています。いくつか代表的なものを紹介します。
ライト関連の調整
・デイライトの明るさを調整
・ウインカー点滅回数(コンフォートフラッシャー)変更
・オートライトの点灯タイミング調整
ライト周りは日常的に使う部分なので、小さな調整が思った以上に役立ちます。
ドアロック・解錠の設定
・走行開始時に自動ロックする
・パッシング時にルームランプを点灯
・リモコンキーで全窓オープン/クローズ
夫婦で使う車では、乗り降りの安心感につながる調整も多く、特に小さなお子さんがいる家庭で人気です。
メンテナンス性を高める調整
コーディングはカスタムだけでなく、整備面でも役立ちます。
バッテリー交換時の登録
車はバッテリーの状態を内部で管理しているため、交換後に正しい情報を登録すると寿命が延びやすくなります。
サービスインターバルの調整
オイル交換などの時期を車の使用状況に合わせて変更可能です。
距離を多く走る家庭では、より実態に沿った管理ができ、無駄な警告に悩まされなくなります。
ブレーキパッド交換モード
電動パーキングブレーキ車では、交換時にパッドメンテナンスモードが必要ですが、これもコーディングツールで操作できます。
正しい知識とツールが重要な理由
コーディングは自由度の高い操作に見えるかもしれませんが、すべて純正システムの枠内で行うものです。
逆にいうと、その枠を外れたツールや作業方法を使うと、車が想定しない動作を起こす可能性があります。
安全に活用するためのポイントは次のとおりです。
- 純正手順に沿った通信方式のツールを使う
- 変更前に必ずバックアップを取る
- 意味を理解した項目だけ変更する
- 必要のない項目には触れない
この姿勢さえ守れば、コーディングは車を壊すものではなく、車のポテンシャルを引き出す調整作業になります。
日常の快適さが大きく変わる
テレビキャンセルのように分かりやすい効果を持つものもありますが、実際には「ほんの少しの調整」の積み重ねで使い心地が大きく改善することが多いです。
・ライトの点灯タイミングが自分好みになる
・ロックの動作が生活スタイルに合う
・運転席に乗り込んだ瞬間のストレスが減る
こうした細かな変化が、毎日のドライブをより快適にしてくれます。
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まとめ
ここまで、Golf7.5を例に「テレビキャンセル」を中心としたコーディングの仕組みと安全性について解説してきました。最後に、重要なポイントを整理しつつ、コーディングを活用する際の考え方をまとめます。
コーディングは車を最適化するための技術
コーディングと聞くと、特別な改造のように感じる方もいます。しかし実際には、車に元々備わっている設定値を、自分の使い方に合わせて調整する作業です。
・純正のデータ領域を使う
・機能を追加するのではなく「使い方を変える」
・安全性を損なわない範囲で行う
このように、正しく理解すればコーディングは車の性格を整えるための確かな方法です。
テレビキャンセルは代表的な設定変更
テレビキャンセルは走行中に映像が消える速度制限を調整する作業です。本来は安全のための制限ですが、同乗者の利便性向上という側面もあり、適切な設定変更が求められます。
・速度信号に応じて映像制御が行われる
・制限速度値(例:6km/h)を書き換える
・作業後は映像の表示や音声切替を必ず確認する
日常的にナビやテレビを使う家庭では、安心して運転しながら室内環境を整えられるため、メリットの大きい作業といえます。
安全性を守るポイント
コーディングは適切に扱えば安全ですが、誤った操作には注意が必要です。
・意味の分からない項目は変更しない
・バックアップを必ず保存する
・正しい通信方式のツールで作業する
・書き換え後は動作チェックを丁寧に行う
これらを守れば、車に負担をかけずに設定を変えられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. テレビキャンセルは違法ではありませんか?
テレビキャンセルそのものは違法ではありません。ただし、走行中に運転者がテレビ映像を注視することは道路交通法で禁止されています。あくまで「同乗者向けの機能」として利用し、運転者が画面を見続けることのないよう、安全な運用を心がけることが重要です。
Q2. コーディングすると保証が切れますか?
メーカー保証範囲は「純正状態での不具合」が対象です。そのため、コーディング内容が原因で不具合が起きた場合には保証が適用されない可能性があります。ただし、適切な範囲で安全に設定されていれば、トラブルにつながるケースは多くありません。心配な場合は施工前にショップへ相談することをおすすめします。
Q3. 自分で作業するより専門店に頼んだ方がいいですか?
初めての方は専門店に依頼するのが安心です。理由は次のとおりです。
・バックアップの取り方や書き込み手順が確実
・誤設定リスクが減る
・車種ごとの細かな違いを把握している
一方、ツールの扱いに慣れている方であればDIYも可能です。
Q4. テレビキャンセル後、何を確認すればいいですか?
設定変更後は以下を必ず確認してください。
・映像が正しく表示されるか
・音声の切り替えが正常か
・走行中の他の機能(ナビ、バックカメラ)に影響がないか
これらの確認で、設定が問題なく反映されているか判断できます。
Q5. 設定を元に戻すことはできますか?
はい、可能です。バックアップデータを使えば、いつでも純正の状態に戻せます。専門店に依頼した場合でも、復元作業は短時間で済むことがほとんどです。
Q6. 他にはどんなコーディングが人気ですか?
Golf7.5では次のような設定変更がよく行われます。
・オートライトの点灯タイミング調整
・デイライト有効化
・オートロック/アンロック設定
・バック時のミラーチルト機能
テレビキャンセル以外にも、使いやすさを高める設定が多数あります。
Q7. 車検に影響しますか?
テレビキャンセル自体が車検に直接影響することはありません。ただし、あくまで運転者の前方注視義務を守り、危険な使い方をしないことが前提です。
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車種別の不具合詳細
不具合の“出方”は似ていても、「どのモデルでどんなトラブルが多いか」は車種ごとに少しずつ違います。
車種別の傾向や、他のオーナーに多い故障事例は、以下のページでまとめています。



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