小さなボディにドイツ車らしいキビキビ感を詰め込んだVolkswagen UP!。
日本の街中でも扱いやすく、しかも燃費もまずまず。
ところが「コンパクト=故障知らず」とはいきません。
今回は実際に整備現場でよく見る定番トラブルと、その対処法をやさしい言葉でまとめました。
DIY派の方も、プロに任せたい方も、ぜひ参考にしてください。
不具合内容 | 症状 | 主な原因 | 修理・メンテナンス方法 | 費用目安 |
---|---|---|---|---|
アイドリング不安定・息つき | 信号待ちで回転数が上下、アクセルオフ時の振動 | スロットルボディ汚れ、吸気系カーボン、点火系劣化 | – スロットル洗浄(工賃込み2〜3万円) – プラグ&コイル同時交換(1万後半) – ハイオク給油+月1高回転走行で予防 | 2~3万円+部品代 |
ASGギクシャク・変速エラー | 発進時ガクつく、「PRNDS」点滅しギア入らない | クラッチアクチュエーター不良、選択センサー摩耗 | – アクチュエーターリビルド交換+初期化学習(5~7万円) – センサー交換(約6万円) – 坂道発進時はサイドブレーキ併用 | 5~7万円 |
タイミングチェーンシャラシャラ音 | エンジン始動直後や高回転で金属音 | チェーン伸び、テンショナー弱り | – 早期ならテンショナー交換(1万円台+工賃) – 放置するとチェーン総交換(約10万円) – オイル管理徹底(5000kmごと) | 1万~10万円 |
冷却水減少・甘い匂い | ボンネット内の甘い匂い、リザーバータンク空 | ウォーターポンプシール劣化、ハウジング割れ | – ウォーターポンプ+ベルト交換(4~5万円) – ハウジング強化品交換(6000円前後) – クーラント2年ごと全交換 | 4~5万円 |
ブレーキランプ消えない・ABSランプ点灯 | ブレーキ離してもランプ点灯、ABS/ESP警告 | ブレーキランプスイッチ不良、スピードセンサー断線 | – スイッチ交換(2000円) – センサー交換(1万円台) – 融雪剤の洗浄で腐食予防 | 2000円~1万円台 |
サスペンション異音(コトコト・ギシギシ) | 段差でコトン、低速で軋み音 | スタビブッシュ痩せ、ロアアームブッシュひび割れ | – スタビブッシュ強化品交換(数千円+工賃) – ロアアームAssy交換(左右3万円台) – 車高調交換時は同時作業が◎ | 数千円~3万円台 |
エアコン効かない・ぬるい風 | 冷風出ない、アイドリングで冷えない | コンプレッサークラッチ摩耗、ガス漏れ | – クラッチ調整(1万円弱) – ガス漏れ修理+充填(2~4万円) – 年1ガスチェック&エバポ清掃 | 1万~4万円 |
バッテリーすぐ上がる | 週末乗りでセル回らない、アイドリングストップ復帰遅い | 小型バッテリー使用、スマホ充電しっぱなし | – AGMバッテリーへ換装(2万円台) – ソーラーチャージャー併用 – シガーソケットからこまめに抜く | 2万円台 |
アイドリングが安定しない・エンジンが息つきする

症状
- 信号待ちで回転数が上下する
- アクセルオフ直後にブルッと振動する
主な原因
- スロットルボディの汚れ
- 吸気系のカーボン蓄積
- イグニッションコイルやプラグの劣化
修理&メンテ
- スロットルボディ洗浄で改善するケースが多数。
工賃込み2〜3万円が目安。 - 走行5万km超ならプラグ&コイルも同時交換がおすすめ。
部品代はセットで1万円台後半。 - 予防にはハイオク給油+月1回の高回転走行でカーボンを焼き飛ばす「イタ車式エクササイズ」が効きます。
ASG(シングルクラッチAT)のギクシャク&変速エラー
症状
- 発進時にガクッとつながる
- 「PRNDS」ランプが同時点滅してギアが入らない
主な原因
- クラッチアクチュエーターの作動不良
- 選択センサーの接点摩耗
修理&メンテ
- アクチュエーターはリビルド品利用で5〜7万円+初期化学習。
- センサー接点はユニットごと交換。
部品+工賃でおおよそ6万円。 - 半クラ多用を避け、坂道発進ではサイドブレーキ併用が長持ちのコツ。
タイミングチェーンからの「シャラシャラ」音
症状
- コールドスタート直後に金属音
- 高回転でチェーンノイズが耳につく
主な原因
- チェーン伸び&テンショナー弱り
修理&メンテ
- 早めならテンショナー交換で済む(部品1万円台+工賃)。
- 放置するとチェーン&スプロケット総取り替え。
10万円コース。 - 長めアイドリングは避け、5000kmごとのオイル交換でテンショナーの油圧低下を抑えると吉。
冷却水が減る・甘い匂いがする

症状
- ボンネット内が甘い匂い
- リザーバータンクが空になる
主な原因
- ウォーターポンプのシール劣化
- サーモスタットハウジングの樹脂割れ
修理&メンテ
- ウォーターポンプはベルト一式同時交換で4〜5万円。
- ハウジングは樹脂→金属強化品へアップグレード推奨。
部品代6000円前後。 - 冷却水は2年ごとに全量交換して防錆剤をキープ。


ブレーキランプが消えない/ABSランプ点灯
症状
- ブレーキペダルを離してもランプが点きっぱなし
- メーター内にABS / ESP警告灯
主な原因
- ブレーキランプスイッチ不良
- ホイールスピードセンサーの断線
修理&メンテ
- ランプスイッチは部品2000円ほど。
DIYなら10分で交換可能。 - スピードセンサーはハブ側が錆びて固着しがち。
工賃含め1本1万円台。 - 冬の融雪剤は速やかに洗い流し、センサー周りの腐食を防ごう。
サスペンションからコトコト・ギシギシ音

症状
・段差でフロント下からコトン
・低速で軋むような音
主な原因
- スタビライザーブッシュの痩せ
- ロアアームブッシュのひび割れ
修理&メンテ
- スタビブッシュは純正ゴム→強化ポリウレタンへ換装すると再発しにくい。
部品数千円+工賃。 - ロアアームAssy交換でも左右3万円台と良心的。
- 車高調を入れる場合は同時交換しておくと二度手間防止。
エアコンが効かない、風がぬるい
症状
- 夏場に冷風が出ない
- アイドリングで冷えが落ちる
主な原因
- コンプレッサーマグネットクラッチの摩耗
- ガス漏れ(Oリング硬化)
修理&メンテ
- クラッチシム調整で復活する例あり(工賃1万円弱)。
- 漏れ箇所修理+真空引き&ガス充填で2〜4万円。
- 年1回のガス量チェックとエバポ清掃で夏前トラブルを回避。
バッテリーがすぐ上がる
症状
・週末しか乗らないとセルが回らない
・アイドリングストップ復帰が遅い
主な原因
- 容量44Ahクラスの小型バッテリー
- 常時電源でスマホ充電しっぱなし
修理&メンテ
- 60Ah以上の高性能AGMタイプへ換装。
工賃込みで2万円台。 - シガーソケットはエンジンOFFで抜く習慣を。
- 乗らない週はソーラーチャージャーをフロントガラスに置けば維持電流を確保できます。
小さな巨人を長く楽しむために
UP!はシンプルゆえに手が掛からないと思われがちですが、実は「小さなパーツが大事な役目を担う」クルマです。
これだけで致命傷級のトラブルはかなり防げます。
もし不調を感じたら、早めに専門店へ。
UP!は正しいメンテで走りの楽しさが続く、まさに“小さな巨人”。
男のガレージライフを彩る相棒として、これからも愛情たっぷりにかわいがっていきましょう。
自分でできるメンテナンス(DIYガイド)
まずは安全第一。
作業は平坦で明るい場所、軍手・保護メガネを着用してください。
ジャッキアップを伴う作業は必ずウマ(リジットラック)を併用。
トルク値・適合部品は年式/グレードで異なるため、整備書で確認を。
1. 気軽にできるボディケア|洗車 & 鉄粉落とし
難易度:★☆☆
所要:30〜60分
工具/ケミカル:pH中性シャンプー、鉄粉除去剤、マイクロファイバー、ねんど/スケール除去(必要に応じて)
手順
- 予洗い(ホイール→下回り→ボディの順で砂を流す)。
- シャンプー2バケツ方式で洗う(スポンジは上面→側面→下部の順)。
- ボディが冷えているのを確認し、鉄粉除去剤を面ごとに散布→反応色が消えるまで待機→やさしく再洗い。
- 水切り→マイクロファイバーで拭き上げ。必要に応じて簡易コーティングで保護。
おススメ!👉【鉄粉除去の決定版】GYEON Iron REDEFINEDでVWの塗装を守ろう!ブレーキダストを溶かして落とす!
2. バッテリー交換(EFB/AGM対応)
難易度:★★☆
所要:30〜60分
工具:10mmレンチ、記憶保持電源(任意)、保護メガネ
ポイント:Golf 8はバッテリー監視(BMS)の学習値があり、交換後は初期化/登録が望ましい。
手順(概略)
- 電装OFF→キー離隔。必要ならOBDメモリーセーバー接続。
- マイナス→プラスの順で取り外し、固定金具を外す。
- 新品(容量/極性/サイズ適合)を載せ、プラス→マイナスの順で接続。
- 端子のガタを点検→固定金具を規定トルク。
- 可能なら診断機でBMSリセット/登録、時計や窓の初期化を実施。
👉【VARTA】DIYできるVWのバッテリー交換【VWゴルフ7.5TDI】
3. エアコンフィルター交換(花粉/脱臭タイプ)
難易度:★☆☆
所要:15〜30分
工具:内装はがし/トルクス(車種差あり)
手順(一般的な右ハンドルVWの例)
- グローブボックス内のダンパー/ストッパーを外し、落下しないよう支える。
- 奥のフィルターカバーの爪を外して引き抜く。
- フィルターの流向(↑AIR FLOW)を確認し新旧入替。
- 逆手順で戻し、異音/風量を確認。
4. ドライブレコーダー取り付け(前/前後)
難易度:★★☆(電源取りは慎重)
所要:1〜1.5時間
工具/用品:内装はがし、ヒューズ電源(Add-a-circuit)、ギボシ/圧着、テスター、内張り用テープ
手順(ACC電源方式の例)
- ルームミラー裏へ本体を上端から20%下・水平に貼り付け(ワイパー可動範囲内)。
- 天井内張り→Aピラー内へ配線。エアバッグ展開域を避けてテープで点止め。
- 助手席足元のヒューズBOXからACC/常時(必要なら)/アースを取得。
- 余長は束ね、異音/干渉がないよう固定。
- 画角→空30〜40%/道路60〜70%に調整し、SDを初期化。
👉【前後ドラレコ取付解説】ユピテルのドライブレコーダーをゴルフ7に取り付ける
5. 困ったらプロに依頼
免責とお願い
不安がある場合は専門業者にご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的とし、すべての個体に適合する保証はありません。
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