車検費用は「どこに出すか」で大きく変わります。
しかし、その差は単なる価格競争ではなく、整備の内容や品質、そして工場の考え方に根ざしています。
一般的に「車検代」と呼ばれるものには、点検・整備・代行・法定費用など複数の要素が含まれており、内訳を理解しなければ実際のコスト感を正しく把握することはできません。
本稿では、認証整備工場で実施される24か月点検と車検整備を例に、その費用構成と整備方針を詳しく解説します。
点検記録簿に基づく作業内容から、代行料や保安検査料の実態、さらに専門店ならではの安全・品質へのこだわりまでを整理。
価格の安さだけで判断しないための、車検理解の基礎をまとめます。
YouTube参考リンク:「専門店が明かす実際の車検費用と整備内容」
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車検費用の基本構造を理解する
車検整備と24か月点検の関係
車検の費用は大きく分けると「整備費用」「代行料」「法定費用」の3つで構成されています。
その中でも整備費用には、24か月点検と呼ばれる分解点検作業が含まれます。
これは2年間安全に走行するための整備基準であり、国の定める保安基準を満たしているかを確認する重要な工程です。
車検証を更新するだけでなく、車そのものの状態を把握し、次の2年間のトラブルを未然に防ぐ役割があります。
ディーラー・認証工場・ユーザー代行の違い
ディーラー車検は純正部品の使用とメーカー基準の整備が特徴で、品質と保証が充実している分、費用が高めです。
一方、認証工場は国に認められた検査設備を持ち、コストを抑えながらも公的基準での整備が可能です。
ユーザー代行車検は最も安価ですが、整備がほとんど行われない場合が多く、消耗部品やブレーキ関連の確認を省略するケースもあります。
そのため「通すだけ」の車検では安全面や長期的な維持に不安が残ることもあります。
「安い車検」のリスク
価格を優先するあまり点検項目を減らした車検では、後に高額修理へ発展することがあります。
例えば、ブレーキオイルや冷却水が未交換のまま放置されると、内部腐食や性能低下を招きます。
安さの背景には「検査のみ」「整備別料金」などの仕組みがあり、内容を理解せずに依頼すると結果的に割高になることも。
費用を比較する際は、内訳に含まれる整備項目と保証の有無をしっかり確認することが大切です。
24か月点検の概要と法定要件
点検記録簿に基づく検査内容
24か月点検は、車検と同時に実施する法定点検です。
国土交通省が定めた「点検記録簿」に沿って、ブレーキ・ステアリング・サスペンション・排気系など、計56項目以上を分解・確認します。
これにより、外観や簡易検査だけでは見つからない内部の摩耗や劣化を把握できます。
特にブレーキ回りや駆動系は、安全に直結するため重点的に確認されます。
ステッカー発行と検査更新の流れ
24か月点検を終えると、整備事業者が「点検整備済ステッカー(ダイヤステッカー)」を発行します。
これは、法定点検を受けた証明であり、車検更新時にも整備記録として重要です。
ステッカーの有無は警察の道路検問でも確認対象となるため、未点検やステッカー未貼付は注意が必要です。
車検と点検を同時に受けることで、整備・検査・登録の流れが一括で完結します。
2年サイクルで求められる理由
24か月点検が義務付けられている理由は、経年による部品劣化を早期に発見し、事故や故障を防ぐためです。
タイヤやブレーキ、ゴムホース類などは使用環境によって劣化速度が異なります。
特に日本の高温多湿環境では、2年以内に亀裂や錆が進行するケースも珍しくありません。
したがって、単に“通すだけ”の車検ではなく、実際の点検整備が安全確保の基盤になるのです。
基本整備費用の内訳(例:29,000円)
車検整備と24か月点検の範囲
一般的な車検整備費用29,000円には、国の基準に基づいた点検・調整作業が含まれます。
主な内容は、ブレーキ分解清掃・パッド残量測定・タイロッドやブーツ類の確認・下回りの締め付けチェックなど。
これらは「24か月点検記録簿」に準じた必須項目です。
さらに、灯火類やワイパー、ホーンなど、保安基準を満たすための基本的な動作確認も行われます。
作業のポイントとチェック項目
整備士は車両をリフトアップして下回り全体を点検し、オイル漏れやゴム部品の劣化を確認します。
特にVWやBMWなど欧州車では、アンダーカバーが広範囲に張られているため、分解点検に時間を要します。
点検項目には、排気系の取付状態、サスペンションのガタつき、ドライブシャフトブーツの亀裂、燃料漏れの有無などがあり、車両の安全性を総合的に確認します。
追加整備が発生しない場合の標準的コスト
29,000円という金額は、あくまで基本点検・調整までを含んだ価格であり、部品交換が不要な場合の標準費用です。
ここにオイル交換やフィルター類の交換を追加すると、実際の総額は35,000〜45,000円程度になることもあります。
重要なのは、見積書に「車検整備費」と「追加整備費」が明確に分けて記載されているかどうか。
内訳が整理されていれば、後から不明瞭な請求が発生することもありません。
車検を安心して任せるためには、費用の“中身”を理解することが大切です。
代行料と保安確認検査の実際
陸運局への持ち込みの流れ
認証工場では、自社で整備を終えた車を陸運支局または検査場に持ち込み、保安基準適合の確認を受けます。
これを「代行車検」と呼び、整備士が運輸支局へ車両を移動させ、検査ラインでブレーキ・ヘッドライト・排ガス・サスペンションなどのチェックを行います。
持ち込みから登録完了までにかかる時間はおおよそ2〜3時間。
代行料の内容と相場
代行料は約13,000円前後が一般的で、検査予約・運搬・登録事務を一括して行う費用として設定されています。
ディーラーや専門工場では、この中に「検査ライン通過費」「検査官立ち会い対応」などが含まれています。
自社で検査ラインを持つ指定工場ではこの代行料が不要ですが、認証工場では必ず発生する項目です。
保安確認検査料の内容
代行料とは別に、光軸調整や排ガス測定などを行う「保安確認検査料」があります。
おおよそ9,000円前後が目安で、整備後に基準値内であることを確認するための重要な作業です。
ヘッドライト光軸、サイドスリップ、ブレーキ制動力、排ガス濃度などを専用測定器で確認します。
ここで基準を外れている場合、整備の手直しを行ってから再検査する流れとなります。
実費調整と良心的対応
工場によっては、陸運局までの往復距離が長い場合に、ガソリン代相当を値引き対応するケースもあります。
また、複数台をまとめて検査に出すことでコストを抑える工夫をしている工場もあります。
車検費用の中には、このような“移動と事務”の裏側コストが含まれており、単純な整備工賃とは異なる性質を持っています。
これを理解しておくことで、見積書の費用構成をより正確に読み解けるようになります。
車検時に行う主要整備項目
ブレーキオイル交換は2年ごとが基本
車検時にほぼ必ず行われるのが、ブレーキオイル(ブレーキフルード)の交換です。
ブレーキオイルは時間とともに空気中の水分を吸収し、沸点が低下します。
これを放置すると、高温時にブレーキが効かなくなる「ベーパーロック現象」を引き起こす危険があります。
2年ごとの交換はこのリスクを防ぐための基本整備であり、費用は3,000〜5,000円ほどが目安です。
クーラントブースター添加の目的
冷却水(クーラント)は長期間使用すると防錆成分が減少し、エンジン内に錆やスケールが発生します。
車検時に「クーラントブースター」という添加剤を入れることで、防錆効果を回復させ、冷却効率を維持できます。
全交換よりも安価に済み、エンジンの寿命延長にもつながります。
添加作業は5〜10分ほどで完了する簡易メンテナンスです。
タイヤローテーションや調整も同時に実施
前後の摩耗バランスを整えるため、車検時にタイヤのローテーションを行うことが多く、これは無料サービスとして提供される場合もあります。
空気圧調整やトレッド残量の確認も同時に行われ、安全性と燃費の維持に役立ちます。
また、ホイールナットの締付トルク確認も重要な工程です。
ケミカル類・ショートパーツの扱い
整備中に使用する洗浄剤・防錆剤・パッキン・Oリングなどの細かな部品や消耗資材は「ショートパーツ費」として1,000〜2,000円程度が請求されることがあります。
これらは一見地味ですが、作業の品質と安全性を支える重要な要素です。
しっかりした整備工場ほど、こうした消耗資材を惜しまず使い、確実な整備を行っています。
追加整備と見積もりの流れ
不具合発見の代表例
車検時には、経年劣化による部品の不具合が見つかることがあります。
代表的なのはブーツの破れ(ドライブシャフトやステアリング部分)、ブレーキパッドの摩耗、タイヤの偏摩耗などです。
これらは車検自体には通る場合もありますが、そのまま放置すると故障や事故につながるおそれがあります。
早めの交換や修理を行うことで、後々の高額修理を防ぐことができます。
事前見積での確認が安心
多くの専門店では、車検の1か月前から「事前見積」を受け付けています。
実際にリフトアップして状態を確認し、交換が必要な部品を洗い出します。
この見積段階で費用感を把握しておけば、車検当日に急な追加請求を受けることはありません。
特にフォルクスワーゲンやBMWなど輸入車では、ブレーキや足回りの部品代が高めのため、事前確認が重要です。
LINEなどを使った進行管理
最近はLINEやメールを使って、整備内容の承認をやり取りできる工場も増えています。
写真付きで「この部品を交換してよいか」を確認できるため、離れた場所からでも安心して依頼できます。
見積金額を超える整備を行う場合は、必ず事前承認を得るのが原則です。
透明なやり取りを行うことで、信頼関係を築くことができます。
早期発見がコストを抑える理由
部品の劣化は進行すればするほど修理範囲が広がります。
たとえば、ドライブシャフトブーツが破れてから放置すると、グリース漏れによってシャフト全体を交換する必要が生じ、費用が数倍に跳ね上がることも。
小さなひび割れの段階で補修すれば、数千円で済むケースも多いのです。
事前点検や定期的な確認を習慣化することで、結果的に車検トータルコストを下げることができます。
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諸費用と税金の内訳
法定費用とは何か
車検時に支払う「法定費用」とは、国や保険機構に納める義務的な費用の総称です。
これには「自動車重量税」「自賠責保険料」「印紙代」が含まれ、整備費用とは別に必ず発生します。
整備工場やディーラーでは、これらの費用を立て替えて支払う形が一般的で、車検時の総額に含めて請求されます。
法定費用はどこで車検を受けても金額が同じであり、整備工場ごとの差が出るのは整備や代行料の部分です。
重量税の仕組みと金額の目安
重量税は車両の重量に応じて課税される税金で、1.0トンごとに区分されています。
たとえば1.0t〜1.5tクラスの車では24か月分で24,600円、1.5t〜2.0tクラスでは32,800円前後が一般的です。
エコカー減税の対象車や初年度登録13年超の車では、金額が変動します。
重量税は次回車検までの期間分を一括前払いする形で納めるため、車検時に必ず支払う必要があります。
自賠責保険料と印紙代
自賠責保険は「相手への補償」を目的とする強制保険で、車検期間(24か月)に合わせて契約更新します。
2025年時点の普通車の保険料は、約17,650円が目安です。
印紙代は、陸運支局で検査証を更新する際の行政手数料で1,800円前後。
これらはいずれも法定固定費のため、整備内容に関係なく必ず同額が発生します。
法定費用と整備費用の区別
見積書を見る際は、「法定費用」と「整備工賃」がきちんと区別されているかを確認しましょう。
法定費用は国に納めるお金、整備費用は工場が行う点検・修理の対価です。
ここを混同してしまうと、費用比較の際に誤解が生じやすくなります。
信頼できる整備工場ほど、この区分を明確に説明し、見積書上でも項目を分けて提示してくれます。
透明性のある費用説明は、安心して車検を任せるうえで欠かせない要素です。
整備品質と保証性の違い
車検の“通過”と“整備”は別物
ユーザー代行車検では、あくまで「検査に合格させること」が目的であり、整備や部品交換を行わないケースがほとんどです。
見た目や機能が基準値内であれば通過できるため、一時的に費用は安く済みますが、実際にはブレーキや足回りの劣化を放置している状態かもしれません。
これに対して、認証工場やディーラーでの車検は、合格だけでなく「今後2年間、安全に走れる状態」に整えることを重視しています。
保証と整備品質の差
ディーラー車検の最大の強みは、整備に保証が付くことです。
整備後に同じ箇所で不具合が発生した場合、保証期間内であれば無償対応してもらえるケースもあります。
一方でユーザー代行車検では、整備保証が付かないため、万一の再修理はすべて自己負担となります。
費用だけを見れば代行車検は魅力的に見えますが、アフターサポートの有無を考慮すると、長期的なコストパフォーマンスでは認証工場や専門店の方が優れています。
ブレーキや足回りを見ないリスク
ブレーキオイルやブーツ類、ボールジョイントなどの劣化は外から見ただけでは分かりません。
ユーザー代行ではこれらを分解して確認することがないため、走行中に異音やオイル漏れが発生しても気づかないまま使用を続けることになります。
特に高速道路でのトラブルは重大事故に直結するため、整備を省略するリスクは小さくありません。
整備付きの車検を選ぶことが、安全性と信頼性を両立する唯一の方法といえるでしょう。
「2年間安心して走れる」整備とは
安心できる車検とは、「基準に合格すること」だけでなく、「次の点検まで不具合が起きない状態に整えること」です。
ブレーキ・冷却系・駆動系といった主要部を点検し、消耗品を適切に交換することで、突然の故障や思わぬ出費を防ぐことができます。
費用を抑えつつも安全性を確保するには、必要最低限の整備ラインを理解し、信頼できる整備士に相談することが大切です。
専門店が重視する車検の考え方
「通すだけ」で終わらせない姿勢
専門店が考える車検とは、単に検査を通過させるための作業ではなく、「次の2年間を安心して走れる状態を維持する」ための整備です。
検査ラインで合格するだけなら短時間で終わりますが、それではブレーキや足回りなど、重要部分の劣化を見落とす可能性があります。
専門店では「通すこと」よりも「維持すること」を重視し、次の車検までのトラブルを防ぐために必要な整備を提案します。
ディーラーとの違い
ディーラーはメーカー基準で新車保証を維持するための整備を行うのに対し、専門店はユーザーの使用環境に合わせた柔軟な対応を重視します。
たとえば、年間走行距離が少ないユーザーには消耗品の交換時期を延ばし、逆に長距離通勤が多い場合は早めの交換を推奨するなど、車の使い方に合わせたプランニングを行います。
この柔軟性が、費用を抑えつつも安心感を両立できる理由です。
他社見積もりへのアドバイス姿勢
優良な専門店では、他社の見積もりを持ち込んだ際も比較・相談に応じてくれます。
内容を精査し、「この部品は交換が必要」「ここは清掃で十分」といった技術的な判断をもとにアドバイスを行うことで、無駄な費用を防ぎます。
見積書の金額だけでなく、そこに含まれる整備品質を正しく読み解くサポートをしてくれる点が、専門店の大きな強みです。
車検後の仕上げとサービス
車検後の仕上げ洗車や室内清掃など、見えない部分にも手を抜かないのが専門店の姿勢です。
下回りの防錆剤塗布や簡易コーティングを行う店舗もあり、車検を「整備+リフレッシュ」として提供することで、車の価値を長く保つ工夫がされています。
こうした細やかな配慮は、単なる検査代行では得られない満足感をもたらします。
車検はコストではなく、次の2年間を快適に過ごすための“再スタート”なのです。
まとめ ― 価格よりも中身を見る
車検は“費用”ではなく“内容”で比べる
車検を検討するとき、多くの人がまず金額を比較します。
しかし、真に重要なのは「その価格にどんな作業が含まれているか」です。
安い見積もりには、分解整備や調整を省略しているケースもあり、短期的には得でも長期的にはリスクとなります。
例えば、ブレーキオイル交換や足回り点検が含まれていない場合、次回までに修理費が数倍に膨らむこともあります。
価格だけで判断せず、点検・整備の中身を確認することが、結果的にもっとも賢い選択です。
点検記録簿と整備履歴の活用
整備記録簿は、その車がどのようにメンテナンスされてきたかを示す「健康診断書」のようなものです。
車検時には必ず点検結果が記載され、次回整備の目安もわかります。
これを継続して保管すれば、将来的な売却時にも整備履歴として価値が生まれます。
また、前回の交換時期を把握することで、無駄な部品交換を避けられるというメリットもあります。
信頼できる整備士との関係を築く
良い車検を受けるためには、整備士との信頼関係が欠かせません。
「ここを交換した方がいい」「まだ使える」といった判断は、経験と誠実さによって差が出ます。
専門店や認証工場の整備士は、車種ごとの特性を理解しており、適切なタイミングでの整備提案をしてくれます。
LINEやメールで相談できる店舗を選ぶのも、安心して任せるためのポイントです。
“安さの裏”にある省略項目を見抜く
「格安車検」や「即日完了」といった広告には、検査のみで整備を行わないケースが少なくありません。
整備を省いた分、工賃が安く見えるだけで、後から追加修理が必要になることもあります。
費用を比べるときは、整備内容の欄に「24か月点検」「ブレーキ整備」「保安確認検査」などの項目が明記されているかを確認しましょう。
結論 ― 2年間を安心して走るために
車検は、2年間の安全と快適さを保証するための節目です。
単に“通すだけ”の車検ではなく、確実な点検と丁寧な整備を行うことで、長期的に見ればコストを抑えられます。
「どこで」「いくらで」よりも、「どんな整備が」「どのように」行われるか。
そこに注目することで、愛車をより安全に、より長く楽しむことができるのです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 車検はどこで受けるのが一番安心ですか?
A. ディーラーは保証が充実、専門工場は費用と技術のバランスが取れています。
安さを重視するなら認証工場を選びつつ、整備内容を確認するのがおすすめです。
Q2. 車検費用を抑えるコツはありますか?
A. 事前見積を取り、必要な整備と不要な作業を見極めることです。
また、オイルやバッテリーなど日常点検をしておくと追加整備が減ります。
Q3. 法定費用はどこで受けても同じですか?
A. はい、重量税・自賠責・印紙代は全国共通です。
整備費用だけが店舗によって変動します。
Q4. 代行車検は安全ですか?
A. 保安検査のみで整備を省略するケースがあるため、安全面では不十分なことがあります。
整備付き車検を選ぶと安心です。
Q5. 車検後の保証はありますか?
A. ディーラー車検では整備保証付きが多く、専門店でも部品保証や再調整対応を設けているところがあります。
依頼前に確認しましょう。
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