フォルクスワーゲンが造った“異端の名車”――New Beetle RSIの技術と希少性を探る

New Beetle RSI フォルクスワーゲンが造った “異端の名車” New Beetle
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2000年代初頭、フォルクスワーゲンは「デザインカー」の枠を超えた高性能モデルとして、New Beetle RSIを世に送り出しました。

世界限定250台、日本導入わずか45台という希少車でありながら、その内容は単なる特別仕様を超えた“開発者の挑戦”ともいえる仕上がりです。

3.2L VR6エンジン、6速マニュアル、4MOTION(フルタイム4WD)を搭載し、車体には専用ワイドフェンダーや強化サスペンション、OZ Racing製ホイールなど、ゴルフ4 R32と共通する本格的なパフォーマンスコンポーネントが採用されています。

本稿では、このNew Beetle RSIの設計思想・駆動構造・内外装の特徴を技術的な視点で解説し、21年以上を経た現在も色あせない機械的魅力を振り返ります。

YouTube参考リンク:「Volkswagen New Beetle RSI 技術紹介」

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限定モデルとしての背景と位置づけ

世界限定250台・日本導入45台という希少性

2001年に登場した「New Beetle RSI」は、世界でわずか250台、日本には45台のみが正規導入された超希少モデルです。

フォルクスワーゲンが誇る“プレミアム・ホットハッチ”として企画され、単なる特別仕様ではなく、開発部門が真剣に走りの性能を追求したプロジェクトでした。

限定台数の少なさから、当時も販売直後に完売したといわれ、現在では中古市場に出ることすらまれな存在となっています。

その希少性は単なる数字の問題ではなく、VWが次世代技術を実験的に投入した“技術の集大成”という点にあります。

約894万円という価格に込められた挑戦

当時の新車価格は約894万円。

量産型ビートルとしては異例の高価格でした。

しかし、その価格には理由がありました。

専用ボディ、VR6エンジン、4WD、OZ製ホイール、カーボンパネル、専用バケットシートなど、主要部品のほとんどが特注設計で構成されていたのです。

量産車のコスト効率とは一線を画し、1台ごとにハンドメイド工程が多く含まれる“半レーシングカー”として開発されました。

結果として、フォルクスワーゲンの「ブランドの頂点」を示す象徴的な存在となったのです。

“プレミアム・ホットハッチ”の先駆け

RSIが登場した2000年代初頭は、まだ「ホットハッチ」という言葉がスポーティーカーと日常車の中間に位置づけられていた時代です。

そんな中、RSIは快適性をある程度残しつつ、エンジン・シャシー・内装に本格的なスポーツ技術を投入した先駆的モデルでした。

Audi TTやGolf R32と同様、後のVWスポーツモデル群に大きな影響を与えています。

デザインモデルを“本気仕様”にした意義

もともとビートルはレトロデザインの象徴でしたが、RSIはその“かわいらしさ”を覆し、性能重視のハードなモデルとして生まれました。

丸みを帯びたボディにワイドフェンダーを組み合わせた姿は、見た目の可愛さと機能性の両立という点で革新的でした。

「走るデザインカー」というコンセプトを具現化した初めてのビートルであり、フォルクスワーゲンがデザインと走行性能を融合させる方向性を確立した記念碑的な1台と言えます。

パワートレインと駆動系の構造

3.2L VR6エンジンのレイアウトと特徴

New Beetle RSIに搭載されたエンジンは、フォルクスワーゲン伝統の3.2リッターVR6ユニットです。

このエンジンは“V型と直列の中間構造”ともいえる特殊な15°のバンク角を持ち、狭角V型6気筒という独自レイアウトを採用しています。

コンパクトでありながら、6気筒特有の滑らかさと力強さを両立させた設計です。

自然吸気エンジンながら、最高出力225ps/最大トルク32.6kgmを発揮。

低回転域から厚みのあるトルクを生み、高回転では直6に近い伸びやかなフィールを感じられます。

レスポンスも鋭く、電子制御に頼らないアナログな“回転上昇の気持ち良さ”が際立ちます。

コンパクトV6構造の意義

通常のV6エンジンは60°や90°のバンク角を持ち、横置きレイアウトではスペース的に厳しい面があります。

しかしVR6では15°という極端に狭い角度を採用することで、エンジン全体の幅を直列4気筒並みに抑えることができました。

その結果、ビートルのような小型ボディにも6気筒を搭載することが可能になり、重量バランスにも優れた設計が実現しています。

フォルクスワーゲンが独自に開発したこの構造は、実用性とスポーツ性能を高次元で融合させるための知恵でした。

6速マニュアルトランスミッションの構造

RSIでは6速マニュアルトランスミッションが標準装備されており、ギア比は高速巡航よりも加速重視に設定されています。

ショートストロークで節度あるシフトフィールは、当時のVW車の中でも特に精度が高いと評価されました。

クラッチは軽すぎず重すぎず、踏み応えと操作性のバランスが取れており、VR6エンジンの厚いトルクを的確に伝える設計となっています。

電子制御が主流となる前の、機械的でダイレクトな操作感が味わえる部分は、今の車にはない魅力です。

4MOTIONシステム(ハルデックスカップリング)の制御特性

駆動方式は電子制御式の4WD「4MOTION」。

ハルデックスカップリングを用いたシステムで、通常は前輪駆動を基本とし、トラクションの低下を検知すると瞬時に後輪へ駆動力を配分します。

この制御は機械的な反応に近く、雪道や雨天でも安定した走行を実現します。

FFベースでありながら、旋回時の姿勢が非常に自然で、ドライバーが意図したラインを正確にトレースできる点が特徴です。

これは単に安全性のためだけでなく、スポーツドライビング時にも“踏める安心感”をもたらしています。

Golf 4 R32とのコンポーネント共通性

RSIの駆動系とエンジンは、後に登場するGolf 4 R32の開発基盤となりました。

R32が「量産スポーツモデル」として仕上げられたのに対し、RSIは“実験的先行モデル”として設計されていたため、コンポーネントの多くが同系統ながらチューニングが異なります。

エンジンマウント、排気系、トランスミッション比、ECUマッピングなど、RSI専用に最適化されており、同じVR6でもキャラクターが大きく異なります。

言い換えれば、RSIは“R32以前のRモデル”ともいえる存在であり、VWスポーツ史における重要な転換点でした。

シャシーとサスペンションの専用設計

リアマルチリンク構造の採用

New Beetle RSIは、当時の標準モデルとは異なる専用シャシー構造を採用しています。

最大の特徴は、Golf 4プラットフォームをベースにしながらも、リアサスペンションにマルチリンク方式を採用した点です。

これは単なる流用ではなく、RSI専用設計のアーム構造が組み込まれており、駆動力伝達とトラクションの最適化を目的としています。

結果として、加速時の安定性が格段に向上し、特に中高速コーナーでの挙動が自然でコントロールしやすくなっています。

通常のトーションビーム構造とは一線を画す、純粋なスポーツ設計といえます。

専用ダンパー&スプリングによる減衰チューニング

サスペンションには、専用セッティングのダンパーとスプリングが採用され、標準ビートル比で車高は約20mm低く設定されています。

この低重心化により、ロール剛性が高まり、ブレーキング時やコーナリング時の姿勢変化が抑えられます。

さらに、スプリングレートと減衰力は高速安定性重視でチューニングされており、ワインディングでもフラットな走りを実現。

単に硬い足回りではなく、「しなやかに動く剛性」という方向性が意識されています。

ストリートからサーキットまで対応できる懐の深さが、このRSIの魅力です。

太径ショックアブソーバーと剛性強化の意図

RSIでは太径のショックアブソーバーが採用され、ピストン径の拡大によって減衰特性がよりリニアに制御されています。

これにより、細かな路面の凹凸に対しても安定した接地感が得られ、長時間走行でも疲れにくい乗り味を実現しています。

また、サブフレームやアーム取付部には補強ブレースが追加され、ボディ全体のねじれを抑制。

剛性の向上とともに、サスペンションが本来の動きを発揮できるよう配慮されています。

これらの設計は、単にスポーツ性を高めるだけでなく、車両寿命の延命にも寄与しています。

補強ブレース構造とボディ剛性のバランス

ボディ全体には、Aピラーからフロア、リアセクションにかけて補強構造が加えられています。

しかし、剛性を高めすぎると乗り心地が悪化するため、VWはバランスを重視しました。

フロア中央にクロスメンバーを追加し、局部剛性を上げつつ、全体としてはしなやかさを残しています。

これにより、荒れた路面でも足回りがスムーズに動き、ステアリングフィールが自然に感じられます。

過剛性ではない「人と機械が対話できる剛性設計」は、現代のVW車にも通じる思想です。

ストリート走行に適したブレーキセッティング

ブレーキには大型のベンチレーテッドディスクが採用され、前後の制動バランスが見直されています。

初期制動をやや穏やかにし、ペダルストローク中盤から強く効く設定とすることで、日常域でも扱いやすい制御性を実現しました。

これは“走るための性能”と同時に、“止まるための信頼性”を重視した設計思想です。

サーキット走行にも十分耐えうる性能を備えながら、街乗りでも快適に扱えるブレーキフィールは、RSIが「限定車でありながら実用車」でもあることを証明しています。

外装デザインと空力処理

専用ワイドフェンダーと拡幅ボディ構造

New Beetle RSIの外観で最も目を引くのが、専用設計のワイドフェンダーです。

前後で約80mm拡幅されたボディは、単なるエアロパーツの追加ではなく、ボディパネルそのものを作り直した構造になっています。

樹脂製のフェンダーではなく、スチールパネルを再成形している点が特徴で、デザイン性と剛性を両立させています。

この拡幅によってトレッドが広がり、コーナリング時の安定性が格段に向上。

ビートルの丸みを生かしながらも、筋肉質で力強いシルエットを実現しました。

一般的な限定車とは異なり、外観の変更が単なる装飾ではない“機能設計”として成立しています。

エアロバランスのためのリアスポイラー造形

リアスポイラーもRSI専用のデザインで、走行時の空気抵抗を最小限に抑えながらダウンフォースを確保しています。

丸いボディ形状は空力的には不利ですが、VWはテストを重ね、リアエンドに適切な整流効果を持たせる形状を導き出しました。

これにより、高速域での直進安定性が向上し、リアが浮くような不安定さを感じにくくなっています。

また、エアロ効果を過剰に主張せず、デザインとしても自然に溶け込んでいる点が、ビートルという車の美学に合致しています。

純正OZ Racing 18インチホイールの採用理由

RSIには、OZ Racing製の18インチ鍛造ホイールが純正装着されています。

サイズは235/40R18で、ホイール剛性と軽量化のバランスが絶妙です。

通常の鋳造ホイールに比べ、バネ下重量を大幅に軽減できるため、サスペンションの追従性が向上し、ステアリングレスポンスもシャープになります。

デザイン面でもRSI専用の多本スポーク形状が採用されており、ホワイトシルバーのボディカラーとの組み合わせが印象的です。

実用性と造形美を両立させたパーツ選定には、VWの設計哲学が色濃く反映されています。

空力+機能性を両立したボディディテール

RSIのエアロパーツは、見た目以上に細部の機能性を重視しています。

フロントバンパーには大型のエアダクトが設けられ、ブレーキ冷却とエンジン吸気効率を高めています。

サイドスカートはボディ下部の気流を整える形状で、高速走行時の揚力を抑制。

リアディフューザーも機能的に設計され、排気干渉を低減しつつ、後方気流の整流を担っています。

これらの要素が一体となって、当時の市販車としては異例の空力性能を発揮。

デザインと性能が矛盾せずに融合している点こそ、RSIが“本気の設計”であった証です。

内装の素材設計と機能配置

軽量化と質感を両立したインテリア設計

New Beetle RSIのインテリアは、量産車のビートルとはまったく異なる仕上がりです。

コンセプトは「レーシングスピリットと高級感の融合」。

随所に軽量素材を使いながらも、単なるスパルタン仕様にせず、上質な質感を保っています。

内張りやパネルの多くはカーボンまたはアルミ素材で構成され、見た目のインパクトだけでなく軽量化にも貢献。

インテリア全体が“ドライバーを中心に構成された空間”として設計されており、装飾よりも機能性が優先されています。

カーボンドアパネルとアルミコンソールの効果

RSI専用のカーボンドアパネルは、軽量で高剛性。

これによりドアの開閉フィールが引き締まり、走行中の共振も低減されます。

センターコンソールにはアルミ削り出しのトリムを採用。

手触りの良さと耐熱性を兼ね備え、スポーツ走行時にも快適さを損ないません。

このように素材を厳選することで、重量増を防ぎながらも、高温下や振動の多い環境でも劣化しにくい内装が実現されています。

フルバケットシートとオレンジステッチのデザイン思想

インテリアで最も印象的なのが、レカロ製フルバケットシートです。

高いホールド性を持ちながら、長距離ドライブにも耐えられる柔軟なクッション構造を備えています。

表皮にはアルカンターラを使用し、通気性と耐摩耗性を両立。

ステッチには鮮やかなオレンジ糸を採用しており、グレー基調の室内にアクセントを加えています。

これにより、レーシングムードの中にも温かみを感じる独特の雰囲気を演出。

座るだけで「特別な車に乗っている」という高揚感を得られるデザインです。

3連メーター(油温・油圧・電圧)の配置

センター上部には3連メーターが配置され、油温・油圧・電圧をリアルタイムで確認できます。

これはスポーツ走行時に重要な情報であり、エンジンコンディションを即座に把握することができます。

レイアウトはドライバー寄りに角度を付け、視線移動を最小限に抑える設計。

レーシングカーのような実用性を持ちながら、内装の一部としてデザイン的にも美しくまとめられています。

メーターの照明はアンバー系で統一され、夜間でも視認性が高い点が特徴です。

アルカンターラ内装の質感とスポーツ志向の融合

シートやステアリング、シフトブーツなどにはアルカンターラが広く使用されています。

しっとりとした手触りは、長時間運転でも快適で滑りにくく、スポーツ走行にも適しています。

レザーとは異なる落ち着いた質感がキャビン全体を包み込み、RSIの特別感をさらに高めています。

派手さではなく“機能美”で魅せるこの内装設計は、フォルクスワーゲンが持つ質実剛健な思想の象徴といえます。

機能と操作性 ― VR6サウンドがもたらす体験

始動プロセスとエンジンサウンド

RSIのエンジンを始動すると、まず感じるのは低く厚みのある音の層です。

セルモーターが短く回り、すぐに目を覚ますVR6エンジン。

そのアイドリング音は穏やかでありながら、内部でしっかりと圧縮しているような密度感があります。

アクセルを軽く踏むと、回転上昇とともに6気筒が奏でる独特のハーモニーが響き、金属的な高音と低音が混ざり合う“重厚な快音”が広がります。

電子制御マフラーではない自然な排気音は、まさに機械が生きているような感覚を与えてくれます。

VR6特有の排気音とその魅力

VR6エンジンのサウンドは、一般的なV6や直6とは異なり、シリンダー間隔が不均等なことで生まれる複雑な倍音が特徴です。

この構造により、アイドリングでは静かに、回転を上げると独特の“厚み”が生まれ、音のつながりが滑らかです。

排気ラインもRSI専用設計で、エンジン音の輪郭を自然に引き出す構造になっています。

音量ではなく音質を重視した設計は、長時間乗っても耳に疲れを感じさせません。

クラッチフィールとシフトフィールのバランス

6速MTの操作感は、まさにVWらしい精密さと剛性感が融合した仕上がりです。

クラッチペダルの踏み始めは軽く、中盤から適度な抵抗を感じる設定で、繋がりの位置が明確にわかります。

シフトレバーはショートストロークで、クリック感がはっきりしており、ギアを選ぶ楽しさがあります。

動作ひとつひとつが機械的で、人間の操作とクルマの反応が直結するような感覚。

現代車の電子制御的な滑らかさとは異なり、“操っている”という実感が強く得られるのがRSIの魅力です。

現代車との比較で見える価値

最新のスポーツカーでは、電子制御によるトルクマネジメントやドライブモード設定が一般的です。

しかしRSIでは、ドライバーの操作がそのまま車の挙動に反映されます。

クラッチの切れ具合、アクセルの踏み込み量、ギアの選択すべてが結果に直結するため、運転技術そのものがドライブ体験を左右します。

この“機械との一体感”は、現代車では得難い純粋な愉しさであり、RSIを特別な存在にしています。

下回り構造と整備観点から見るRSI

リフトアップ時に見える構造の特徴

RSIをリフトアップして観察すると、標準ビートルとは大きく異なる専用設計が確認できます。

まず目を引くのは、フロア下に張り巡らされた補強プレートとクロスメンバー。

前後サブフレームを連結するような構造を持ち、車体のねじれを抑えながらも、サスペンションがしなやかに動くように設計されています。

また、排気系は専用ルートを通っており、中央部に共鳴室を備えたステンレス製パイプ構造を採用。

見た目にも無駄のない“走りのための下回り”であることが分かります。

サスペンション取付構造と補強プレート

リアサスペンションの取り付け部には、通常のビートルにはない補強プレートが追加されています。

これにより、加減速時やコーナリング時のトー変化を抑え、安定したトラクションを確保しています。

また、アーム類はスチール製で剛性を重視した構成。

ブッシュはやや硬めの設定で、走行中の振動を適度に吸収しつつも、ドライバーに路面情報をしっかり伝えます。

フロント側もサブフレームの剛性が高く、ステアリング入力に対してクイックに応答。

全体として、当時のVWが「走り」をどれほど意識していたかを感じさせる造り込みです。

メンテナンス性と部品供給の課題

下回り構造が特別なRSIは、当然ながらメンテナンスにも独自の注意点があります。

まず、サスペンションやブレーキ部品はGolf 4 R32と共通する部分が多いものの、細部が異なるため流用には注意が必要です。

特に補強プレートやマフラーステーはRSI専用品であり、純正部品の供給が非常に限られています。

現在では一部のパーツが製廃となっており、欧州からの輸入や中古部品の確保が現実的な対応となります。

そのため、RSIを長く維持するためには、早めの点検とストック部品の確保が欠かせません。

希少車としての維持上の留意点

RSIのような限定モデルは、整備の際に「触り方」にも注意が必要です。

例えば、ジャッキアップポイントが通常モデルと異なり、ボディ剛性を保つための構造が追加されています。

誤った位置でリフトアップすると、補強部を変形させてしまう可能性もあります。

また、下回り洗浄や防錆処理を行う際も、塗膜やコーティングを傷めない施工が求められます。

錆びにくい設計ではありますが、20年以上経過した車両では、排気系のフランジ部やボルト類の腐食が進みやすいため、定期的な防錆メンテナンスが推奨されます。

希少なRSIを“動態保存”するには、走ることと同じくらい「正しい整備」が重要です。

保存状態と価値

オリジナルコンディション維持の意義

New Beetle RSIは、世界限定250台という生産台数の少なさから、コレクターズカーとして高い価値を持ちます。

そのため、最も重視されるのが「どこまでオリジナルを保てているか」です。

特に外装や内装の部品は、再生産されていないものが多く、一度交換や再塗装を行うと価値が下がる傾向にあります。

塗装の小キズや経年変化も、オリジナルの証として評価されることが多いため、むやみにリペイントせず、コンディション維持に徹することが望ましいといえます。

日常的な清掃と屋内保管、そして定期的な始動でコンディションを安定させるのが理想的です。

再塗装・補修を避けるべきポイント

RSIの外装は、専用カラー「シルバーメタリック(LA7W)」が採用されていますが、この塗料の粒子配合が特殊で、現在の一般塗装では完全な再現が難しいとされています。

再塗装を行うと、光の反射や金属粒子の浮き方が微妙に異なり、オリジナルとの質感差が出てしまいます。

また、カーボンやアルミ素材の内装部品も再塗装が難しく、表面処理を誤ると素材そのものを痛めることになります。

補修の際は部分補修よりも“清潔に保つ”方向を優先し、極力手を加えないメンテナンスが推奨されます。

コレクターズカーとしての市場的価値

2020年代以降、欧州を中心にRSIの市場価格は上昇傾向にあります。

走行距離が少ない個体では1,000万円を超えるケースも見られ、今や「フォルクスワーゲン史上最も希少な市販車」として扱われています。

その背景には、現代車では再現できない自然吸気VR6と6速MTの組み合わせ、そしてデザイン性の高さがあります。

さらに、電動化時代に突入した現在では、アナログなメカニズムを持つRSIの存在が“文化的価値”として再評価されているのです。

“走らせて守る”RSIオーナーの哲学

希少車は保存するだけでなく、定期的に“走らせること”がコンディション維持に直結します。

エンジンオイルや冷却水を循環させることで内部の劣化を防ぎ、ブッシュやゴム類も柔軟性を保てます。

RSIのオーナーたちは、こうした「動態保存」の考え方を大切にしており、月に一度の始動や短距離走行を欠かしません。

走ることで車の機能を維持し、同時に“生きた歴史”として価値を伝えていく。

これがRSIを所有する人々の共通した哲学です。

保存と走行、どちらも愛情の形であり、そのバランスこそが真の維持といえるでしょう。

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まとめ ― 21年経ても衰えない“本気の造り”

2000年代VWが示した「ブランドの理想形」

New Beetle RSIは、フォルクスワーゲンがまだ「走り」と「デザイン」を等しく重視していた時代の象徴といえます。

デザイン重視のビートルというベース車に、3.2L VR6エンジンと4MOTIONを組み合わせるという発想は、当時としても非常に大胆でした。

RSIは単なる限定モデルではなく、VWが理想とする“究極のビートル像”を具現化した開発車であり、同社の技術力と情熱を象徴する存在です。

2000年代初頭のVWが持っていた「職人技と合理性の共存」が、この1台に凝縮されています。

電子制御に頼らない、アナログ性能の魅力

現代の車が電子制御やドライブモードで性能を切り替えるのに対し、RSIは機械的な構造そのものが性能を生み出していました。

ドライバーの操作がダイレクトに反映される6速MT、機械式に近い4MOTION、そして自然吸気エンジン。

これらが一体となって、人間の感覚に近い“リニアな走り”を実現しています。

まさに「電子制御のない正確さ」を体現したモデルといえるでしょう。

こうした純粋な走行体験は、現代車では得難い貴重な価値となっています。

限定車としての保存価値と整備の重要性

RSIは販売台数が少ないうえに、専用部品が多いため、維持には専門知識と手間が求められます。

サスペンション、排気系、内装パネルに至るまで多くがRSI専用品であり、部品の確保や再生には計画性が必要です。

しかし、その分、適切に維持されたRSIは時間を経ても性能を保ち、希少性が年々高まる資産価値を持ち続けます。

オリジナル状態を大切にしつつ、適度に走らせることでコンディションを維持する「動態保存」の考え方が、今後ますます重要になるでしょう。

New Beetle RSIが示した“フォルクスワーゲンの情熱”

RSIは、フォルクスワーゲンが単に大衆車メーカーではなく、「理想の車をつくる職人集団」であることを証明した一台です。

デザインカーをベースにしながら、本格的な走行性能とレーシングテイストを融合させたこのモデルは、時代の枠を超えて評価されています。

21年を経ても、その造り込みと思想は色あせることなく、むしろ現代のクルマづくりに一石を投じる存在といえるでしょう。

New Beetle RSIは“本気で造られた遊び心”の結晶として、今もなおフォルクスワーゲン史に輝き続けています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. RSIは日常使いできますか?

A. 機械的には可能ですが、希少部品の摩耗リスクを考慮すると日常使用よりも週末ドライブ向きです。

走らせる頻度を月数回に抑え、“動態保存”を意識するのがおすすめです。

Q2. Golf R32との違いは何ですか?

A. 基本構造は近いですが、RSIは先行試作的な性格を持ち、より軽量でシャープな特性です。

排気系・ECU・ボディ補強などがRSI専用チューニングとなっています。

Q3. 部品は入手できますか?

A. 一部はR32やTTと共通ですが、多くの内装・外装部品はRSI専用です。

現時点では欧州からの中古パーツ輸入が主な入手手段となります。

Q4. 維持にかかる費用はどの程度ですか?

A. 状態にもよりますが、定期メンテナンスや予防整備を含めて年10〜20万円程度を見込むと安心です。

特にサスペンションやオイル系統の管理が重要です。

Q5. 購入を検討する際の注意点は?

A. 修復歴・再塗装の有無、内装の欠品などを必ず確認しましょう。

オリジナルパーツが揃っている個体は長期的な価値維持にも有利です。

RSIは、走りと造形美を両立させた稀有な存在です。

手をかけるほど応えてくれる“生きた名車”として、今も多くのファンを魅了し続けています。

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